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「俺はお前がクソ可愛いと思ってる。だから自信を持て」
「急になに？もしかして、慰めのつもり？」
「そんなつもりはないんだが、俺が捕まえた女を悪く言うな。俺の価値まで下がるだろ」
「なんだ、そーゆーことね」
少なからず期待してしまった私は肩透かしを食らって、ミヒャエルの胸を小突いた。本当にブレない男だと思う。だからこそ、居心地が良いのかもしれないが。
「で、ミヒャエルのしたいことって結局なんなの？」
「デート」
「え……？デート？」
どういう風の吹き回しか、ミヒャエルがそんなことを口にし始めた。まさか、と我が耳を疑った。
「それが俺のしたいことだ」
「そんなことが、いいの？」
私は少し、ほんの少し戸惑っていた。心がひとりでに、うろうろとしている。
私たちの関係はあくまで身体だけであると教えられた後で、このような願いを口にされたら、惨めにも勘違いしてしまいそうになるのは当たり前のことだった。
「そんなことがいいんだ。Aはいやか？」
そういう時だけ、名前で呼ばないで欲しい。
一体どんな顔をしてそんなことを嘯いたのだと恐る恐る見上げると、普段の傲岸不遜な態度をどこか置き去りにしてきたような、心なしか不安を宿すような瞳で乞われて、胸が締め付けられるのを覚えた。
私は当然断れるはずもなく、気付けば首肯していた。
「よし、なら決まりだな。どこに行きたい？」
「え、いいよ、私は。ミヒャエルが行きたい場所にしよう」
「クソ失礼だな。俺がレディを優先しない男だと思うか？」
「さあ、どうだか」
「クソ生意気」
こうして何不自由なく会話をしているが、思えばミヒャエルはこの国の生まれではない。今だってイヤホン越しでしか、彼の母国の言語を理解することも出来ないのだ。
私はそのことに見えない壁を感じていた。身体の熱を感じるほど近くにいるのに、彼の胸中には一生触れることが出来ない気がして、言いようのない寂寥が広がる。
「……わかった。きっと日本は私の方が詳しいから、逆にエスコートしてあげる」
「頼もしいなプリンセス。これ以上惚れさせないでくれよ」
「もう、思ってもないことばっかり口にするんだから」
ミヒャエルの軽薄な言動の全ては、その場を楽しむためだけの感情のない偽りの台詞だけだ。そうと分かっているのに、私の頬は自然と熱が集中する。
それに気づいたミヒャエルが、飼い猫にするように私の顎を撫でてくつくつと笑った。
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玉子ぷりん - 見てて「こういうのもいいな」と新しい扉がひらいた気がします！（？）完結おつかれさまです！これからもおうえんしてます！ (2023年4月3日 22時) (
レス) @page23 id: 07e67c9327 (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - ひてゃんさん» はじめまして、コメントありがとうございます！また、このお話を最後までお読みくださりありがとうございました！ひてゃんさんに、そのように言って頂けてとても嬉しいです🍀またご縁がありましたら、その時はよろしくお願いします🙇♂️ (2023年3月5日 0時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
ひてゃん(プロフ) - とてもおもしろかったです！！完結お疲れ様でした👏🏻❤️🔥 (2023年3月4日 12時) (レス) @page23 id: beb1a37d1b (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - 悠さん» 悠さん、改めまして最後までお読みくださりありがとうございました！また、再びコメント頂けて嬉しいです🥰彼に人生狂わされたくて思いついた話なので、そのお言葉とっても胸に響きます😊今後ともご縁がありましたらよろしくお願いします🙏 (2023年3月4日 7時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - 自分はウェブで見てるのでフォローとかができないんですけどツイッターも見てます！ 改めてお疲れ様でした！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page23 id: 1f3484379a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄泉
| 作成日時：2023年2月11日 16時
