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目的地に着く頃には、今のこの状況が夢の中の出来事なのではないかと思うようになっていた。ミヒャエルとこうして普通に会話をして、隣に並んでいるということが私の世界の中では信じ難い現実だったのだ。
さらに、私は目前に広がる情景を見て、桃源郷に辿り着いてしまったのではないかと錯覚する。
青銅の鏡の如く私たちを映し出す水面が夕陽を拐い、瑠璃色と橙色が混じり合ってキラキラと輝いている。洪波洋々と広がる海に、ぼんやりと暮れ更けそうになる光に包まれたミヒャエルの髪が風に吹かれて、私はこの世の何よりも美しいものを見た。
どこまでも広がる鮮やかな海の香りを胸いっぱいに吸い込んで、これが夢の終わりでないことをただひたすらに願いながら、スマホのカメラを起動する。
「ミヒャエル」
「ん？」
ミヒャエルが振り向いた瞬間、私は写真を撮った。一方で、彼は何をされたのだろうと驚いた顔をしている。
そして、私がスマホの画面を見せると、ゆっくりと詰め寄ってきたミヒャエルにスマホを取り上げられた。
「おい、モデル料は高く付くぞ」
「どれくらいになるの？」
「さあ、いくらだと思う？」
「ぁっ、ちょっと、ミヒャ……っ」
そのまま抱き締められながら、互いに絡み合って砂浜のベッドの上に崩れ落ちた。羽毛生地とは異なり、硬くてザラザラとした熱い砂の感触が背中にある。服の隙間から砂が侵入してきて不快なはずなのに、ベッドの上で抱き合って眠ることよりも幸せに感じるのは、どうしてなのだろう。
「ん……っ」
覆い被さってきたミヒャエルに、唇を奪われる。重なっては離れ、また重ねられて、くすぐったさと物足りなさを覚えて彼に身を委ねると一層深い繋がりに変わった。
_____その時、ミヒャエルの手にある私のスマホから着信音が鳴った。夢の終わりを告げるような音に、一瞬辺りの空気が冷えたような気がした。すぐにその着信は切られて、のちにメッセージが受信される。潔世一、その名前だけが確かに見えた。
そこで私は、そういえば一ヶ月程前に友人に頼まれてメッセージを送ったんだっけかと遠い昔の記憶を遡る。相手が分かったところでミヒャエルからスマホを取り上げようとしたが、彼はそれを許してはくれなかった。
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玉子ぷりん - 見てて「こういうのもいいな」と新しい扉がひらいた気がします！（？）完結おつかれさまです！これからもおうえんしてます！ (2023年4月3日 22時) (
レス) @page23 id: 07e67c9327 (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - ひてゃんさん» はじめまして、コメントありがとうございます！また、このお話を最後までお読みくださりありがとうございました！ひてゃんさんに、そのように言って頂けてとても嬉しいです🍀またご縁がありましたら、その時はよろしくお願いします🙇♂️ (2023年3月5日 0時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
ひてゃん(プロフ) - とてもおもしろかったです！！完結お疲れ様でした👏🏻❤️🔥 (2023年3月4日 12時) (レス) @page23 id: beb1a37d1b (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - 悠さん» 悠さん、改めまして最後までお読みくださりありがとうございました！また、再びコメント頂けて嬉しいです🥰彼に人生狂わされたくて思いついた話なので、そのお言葉とっても胸に響きます😊今後ともご縁がありましたらよろしくお願いします🙏 (2023年3月4日 7時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - 自分はウェブで見てるのでフォローとかができないんですけどツイッターも見てます！ 改めてお疲れ様でした！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page23 id: 1f3484379a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄泉
| 作成日時：2023年2月11日 16時
