・ ページ17
「当たり前だよ、私から連絡したんだし」
「でも、何で急に連絡くれたんですか?」
「あっえっと、その……ごめん、迷惑だったよね」
「まさか!俺、すっげえ嬉しかったんで」
「嬉しい?」
あの頃と同じ夢見る少年のような輝かしい瞳を向けられて、私は酷く罪悪感に駆られた。まさか、友人が会いたいと言っていたから連絡した、とは素直に言えるわけもない。
「俺、結構Aさんのこと好きだったんですよ」
「そ、それは嬉しい、かも……ありがとう」
______好き?
一瞬、耳を疑うような言葉が聞こえたような気もするが、潔くんは近所に暮らしていたただの高校生だ。そんな事実があったからか、今の言葉に深い意味はないのだと自己完結するのも容易だった。
「Aさんが思っているような軽い気持ちじゃないですよ、俺。だから、今日会えることが嬉しくてここに来ました」
そんな私の考えを否定するように、潔くんが追い討ちをかけてくる。戸惑って見上げれば、同じくらいの背丈だったあの頃の潔くんはいない。私が揶揄って困ったような顔をする彼の顔は、もう見れないのだと直感する。
潔くんは知らない間に、一人の男の人に成長していたのだ。その事実が、酷く心を揺さぶる。生半可な気持ちで友達に会わせるだなんて、言ってはいけなかったような気がした。
「ご、ごめ、私、そんな」
「はは、Aさん、焦りすぎ」
くすり、と小さく笑った潔くんがゆっくりと近づいてきて、顔を覗き込まれた。戸惑った私が顔を背けると、潔くんがまた揶揄うように笑みを深める。
「かわいいですね、Aさん」
「へ……?」
頬に、カッと熱が集中した。
潔くんは動揺する私を余所に「どこ行きますか?」と何事もなかったかのように話を進めようとしている。そんなつもりはないとも言えずに更に慌てふためいていると、見慣れた男の姿を視界に捉えた。私は瞠目して、足が凍りついたかのように動かなくなる。
「おいおい、世一ぃ、女を口説くなら順番は守れよ?」
直後に、聞き覚えのある声がして、私の心臓が今度は別の意味で嫌な音を立てた。
502人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ブルーロック」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉子ぷりん - 見てて「こういうのもいいな」と新しい扉がひらいた気がします!(?)完結おつかれさまです!これからもおうえんしてます! (2023年4月3日 22時) (レス) @page23 id: 07e67c9327 (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - ひてゃんさん» はじめまして、コメントありがとうございます!また、このお話を最後までお読みくださりありがとうございました!ひてゃんさんに、そのように言って頂けてとても嬉しいです🍀またご縁がありましたら、その時はよろしくお願いします🙇♂️ (2023年3月5日 0時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
ひてゃん(プロフ) - とてもおもしろかったです!!完結お疲れ様でした👏🏻❤️🔥 (2023年3月4日 12時) (レス) @page23 id: beb1a37d1b (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - 悠さん» 悠さん、改めまして最後までお読みくださりありがとうございました!また、再びコメント頂けて嬉しいです🥰彼に人生狂わされたくて思いついた話なので、そのお言葉とっても胸に響きます😊今後ともご縁がありましたらよろしくお願いします🙏 (2023年3月4日 7時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - 自分はウェブで見てるのでフォローとかができないんですけどツイッターも見てます! 改めてお疲れ様でした! (2023年3月3日 23時) (レス) @page23 id: 1f3484379a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黄泉 | 作成日時:2023年2月11日 16時