5.優しさとたった一つの愛と ページ6
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『はぁー…。やばい』
スマホを見ると、もう8時すぎ。
2時間前に走ったのに…あーもうやばいかも。
こんな時でもアップテンポな音楽は耳を通過する。
最高に気分が悪い時にはほんとに最悪だ。
そこら辺のベンチに居座り、冷たい手で額を
だって彼奴には迷惑かけらんないから。
今日指摘されたからそれ
音楽はやっぱり耳を通過する。
それが怖く思えて、辺りを見渡す。
誰も、居ない。………居ない。
私を守ってくれる人は________、もう誰も。
息が荒くなる。そして目眩が起こる。
私がこんな目に合うなんて、誰も予想していなかっただろう。
______私が幸せだからいけないの？
「そんなことないよ」
今とは違うあの人はそう言った。
でも、ミストレはそう言ってくれるのかな？
私のこと…励ましてくれる？
________「ブース」
………やめだ。
もう、何も考えたくない。
気分が悪い。
もう疲れた。
何もかもぜーんぶどうでもいい。
はやく……
はやく、私を助けに来てよ…ミストレ。
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「ばーか。何してんのさ」
深緑の片三つ編みが、私の頬を
いつもならうざったらしいと思えるその髪は、どこか懐かしくて、どこか寂しげ。
『…ん』
「ん、じゃないでしょ。
こんな時間まで何で走ってんの」
ああ、そうか。
此奴私のこと心配して……。
「お願いだから…
オレのことこれ以上心配させんな。」
そう言って腕を肩に回される。
そしてされるがままになり彼の背中が大きく眼に映る。
「あれ、ブス…体重減った？」
『そ、かな…？』
「あっれー？
ブスって言うな！って言わないのかぁ」
なんで今は優しいの。
いつもは優しくしないくせに。
＿＿＿＿＿＿でも…迎えに来てくれた。
あの人とは違う方法で、不器用だけれど彼なりに精一杯私を励ましてくれた。
そして今、私の為に涙ぐんでるの……知ってるよ。
そう言うところが…
好き、なんだってば
『ッばか。…すき……ッだいすき』
「…知ってる」
彼の首元をぎゅーっと抱き締める。
そして頬を擦り寄せる。
そのちょっと紅い頬も、
今では広い背中も、いつもの揶揄いも、
あなたのその匂いも…、
全部全部、好き……だよ。
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作者名：月愛 | 作成日時：2017年2月19日 1時
