story・5 ページ6
財布がなく、困り果てていた私を助けてくれたのは、若い男の子だった。
(男の子…は失礼かな?二十歳は過ぎてそうだし…)
そんな事を考えながら、相手の後に続いて店を出る。
「あっ、あの、本当にありがとうございました!もうパニックになっちゃってて…」
店を出た所で深くお辞儀をし、再びお礼を言う。
多分、彼は一部始終を見ていたので、恥ずかしさも込み上げてきた。
「ははっ!確かに!…でもまぁ、大した事じゃないし。気にしなくていいって!」
明るく笑った彼の顔を見て、澪乃も自然に笑顔になった。
「あっ!そうだ!お金…どうしましょう?」
「あぁ、そっか。えっと…別に高くないし…返してもらわなくても…」
「えっ!?それはダメですよ!ちゃんと返さないと…」
確かにそんな高額ではないが、そのあたりはきちんとしておきたい。
「財布は多分、学校に置いてると思うんですけど…」
澪乃が考え込んで呟くと、彼がすぐに反応を返した。
「学校ってここの近くの?」
「はい。そこの…」
「じゃあさ、俺も今から行くから。一緒に取りに行こ?」
「いいんですか!?」
「ん。問題ない!」
とんとんと話が進み、二人は連れ立って歩き出す。
(…本当に親切な人!良かった!)
澪乃は頬を緩めながら、その親切な彼の隣に並び、学校へと向かった。
しかし…
この時に澪乃がつけ忘れてしまった一言から、彼・菊池風磨が勘違いしたことを、彼女は知る由もなかった……。
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ふままふ - 風磨君ヤバい! (2014年8月23日 10時) (レス) id: c535008a92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪乃っこ | 作成日時:2014年8月8日 1時