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「あれ?皆帰っちゃったの?」
席に戻ってきた澪乃が首を傾げている。
「あぁ、えっと…」
どう言い訳すべきか悩み、言葉を濁していると、テーブルの上のスマホが揺れた。
「?」
澪乃が自分のものだとわかり、操作し、なぜか吹き出す。
「健人くん、しっかりしてそうでおっちょこちょいね?」
差し出された画面を見ると、(ごめーん!家の鍵かけ忘れたか気になるから先帰ります!マリウス、勝利も用事あるって!)
「あっ、そ、そうそう!…さっきそう話してて。確かに抜けてるとこあるんだよ!」
なんとか話を繋げて、笑顔を見せる。
健人のやつ…後で言いたい事が山ほどある。
しばらく、他愛もない話が続いたが、その間も風磨の緊張が切れる事はなく…
だから。
気づくのが遅すぎた。
相手のお酒も切れていない事に…
――1時間後。
「う〜ん…、う〜〜ん、…ふぁぁぁ、あ…」
「…えっ?澪乃さん?ちょ、」
テーブルに突っ伏しかける澪乃を、風磨は慌てて揺する。
「うーーん…、だい、じょ…ぶ、…けど、ね……む、」
「ま、待て、起きて起きてっ!……あ、」
完全に目を閉じた澪乃に対し、揺すっていた動きを止める。
スースーと寝息まで聞こえてきた。
「……まじかよ。まぁ、しばらくしてから起こして…」
「お客様」
「?」
「ラストオーダーのお時間ですが、いかがなさいますか?」
「!!…あ、なしで!大丈夫です!」
ラストオーダー=閉店間近
ゆっくり待つという選択肢はなくなった。
「どーすんの、俺…?」
一人呟いて、ゆっくりと唾を飲んだ…。
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ふままふ - 風磨君ヤバい! (2014年8月23日 10時) (レス) id: c535008a92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪乃っこ | 作成日時:2014年8月8日 1時