story・10 ページ11
(あっ、澪乃さんだ…!)
四日後の大学の帰りの電車で、少し離れた所に再び彼女を見かける。
風磨が声をかけるため席を立とうとすると、澪乃が気づき、近づいてきた。
「菊池さん!この前はどうもありがとうございました!」
「いやいや、本当に大したことじゃないしさ!気にしないでいいよ。」
言いながら、ペコリとお辞儀をした澪乃に、風磨は笑顔を返す。
「水曜日まで会えないと思ってたんで…良かった!今まで授業だったんですか?」
「えっ?…あっ、あぁ。そう、そう!」
澪乃の質問に、風磨はしどろもどろ答える。
実は、授業自体はもう少し早い時間に終わっていたのだが、働いている彼女が帰りそうな時間まで時間を潰していたのだ。
「仕事もあるのに大変ですよね…」
「あっ、…俺の仕事、わかったんだ?」
「はい!あの後テレビ見てわかりました。すごい人気なんですね!この前は全く気づかなくて…」
「そっか……」
話をしながら、風磨は少し顔をくもらせる。
彼女には、普通の男として菊池風磨を見てほしかったのだけれど…
「俺、普通なんだけどな…」
小さく呟く声に、澪乃は首を傾げる。
「もしかして…、芸能人扱いされるの嫌ですか?」
「えっ?」
「えっと…確かに、私も学校以外では先生扱いされたくないですし、普通の人でいたいなって思いますから…、そ、それと一緒なのかな…なんて!あっ、全然違ってたらごめんないっ!」
澪乃は一気にしゃべり、頬を少し赤らめて謝った。
初めはその様子を、呆気にとられて見ていた風磨だが、次第に柔らかな笑みを浮かべ…
「…ふふっ!そうそう!一緒だよ。…だからさ、澪乃さん。俺を普通の大学生と同じに扱って?」
「あっ、はいっ!わかりました。」
つられて笑顔になった澪乃と笑い合う。
ふとした表情の変化に気づき、自分の事をわかってくれた。
彼女の存在に、また惹かれていく…。
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ふままふ - 風磨君ヤバい! (2014年8月23日 10時) (レス) id: c535008a92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪乃っこ | 作成日時:2014年8月8日 1時