君は裏方の頑張り屋さん

･ ページ5

｢企画まとまったから撮影するよ｣

河村さんの言葉に全員が立ち上がった

いつもなら撮影部屋までついて行きみんなのことを見るAが立ち上がらないことが気になり声をかける

｢…A…Aちゃん!!｣

何度読んでも返事がなかったが少し大きめの声を出せば『あ、はいっ！』と驚いたように声を上げた

｢大丈夫？なんか調子悪い？｣

俺が聞くとAは少し視線を逸らした

『大丈夫です。気にしないでください』

視線を逸らすのは嘘の現れ
分かってはいたがもうみんな撮影部屋に行ってしまったから俺は｢無理しないようにね｣と頭を撫でてから撮影部屋に向かった

そこから撮影が始まる
明るく演じてはいるが脳裏にはAのことが気になっていた

あそこで引き下がらなきゃ良かったかな…なんて思っていると｢伊沢｣と河村さんに呼ばれ俺は撮影中だったことを思い出す

｢ごめん、大丈夫。やろ｣

俺の言葉にこうちゃんや山本が少し不安そうだったが河村さんは少し悩んでからまた企画を再開した

そこからは企画の方に集中する

ﾄﾞｻｯ

何かが倒れる音がした

｢一旦カット。作業部屋から…Aちゃんかな｣

福良さんが不安そうに言った
俺はAに何かあったかと思い立ち上がり作業部屋に向かう

｢A!!｣

倒れ込んでいた彼女に俺は駆け寄る
抱き上げておでこに手を置くが熱があるようではなかった

｢Aちゃん大丈夫？｣

福良さんが、声掛けてきた

｢Aが倒れてて…ソファーに寝かせて平気？｣

俺の言葉にみんなが頷く
撮影部屋まで移動してソファーに寝かせる
山本が心配しながらブランケットをかけてあげた

｢Aちゃん、もしかして朝から体調悪かったのかな｣

福良さんの言葉にこうちゃんが少し納得したように｢ブルーライト｣と言った

｢それに、ちょっと隈が出来てる…さっきの編集で夜更かししたとか？｣

福良さんの言葉に俺はそっと彼女を見る

無理させたのかもしれない…。

さっきもパソコンに資料にノートと忙しくしてたなと考える

｢今日、気圧低いみたいですしそれもあるかもですね｣

河村さんの言葉に俺は彼女が偏頭痛持ちだったことを思い出した

･→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す