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過去〜
Aside
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2月7日
あの日は私の気持ちとは裏腹に、一年に何回もないくらいの晴天だった。
誰もが光を身体中に浴びて歩いてる。
あのお通夜の晩の深い闇や喪服の黒色の記憶なんて、光に溶けて簡単に流れ出してしまいそうだった。
『......みんな置いて行くんだね』
もう袖を通すのは御免だと思っていた喪服。
萩原、松田は殉職。伊達は交通事故。
別れはとても呆気なかった。
人間は、生きてる間に無数の別れを経験しなくてはならない。
相手を見送るか、自分が見送られるかのどちらかで、最後にはすべての人と死に別れる。
それを理解しても悔しさと悲しみ、喪失感は増すばかりだった。
「二階堂さん、」
『ああ、高木くん』
後ろから声をかけられ立ち止まり振り向けば部下の高木くんの姿。
目には未だに涙が溜まっていた。
それもそのはず。
「これを渡したくて...」
『手帳......?』
「伊達さんの遺品です。僕が持っているより伊達さんと同期の二階堂さんが持っている方が______」
大切そうに手帳を握る高木くんの指に力が入るのが伺える。
あの事故の日、一緒にいたのに助けれなかったなんて思っている顔で。
『なに馬鹿なこと言ってるの』
つい、高木くんにそんな事を言った。
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作者名:たらんちゅらん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=f429723d20d469671ae73cdd3305960c...
作成日時:2021年11月26日 22時