検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:10,147 hit

hys×okmt2 ページ8

hys said

久しぶりに図書館に来た。卒論を書くのにどうしても必要な資料を探すためだ。

「ん?」

数冊探してカウンター席の横を通り過ぎようとしたら、苦しそうにしている女の子。

どこかで見たことある子だと思ったら沙紀ちゃんだった。

「沙紀さん?」

持っていた本を隣の席において沙紀ちゃんを起こそうと肩をゆする。けど。

「ん……ぅ……」

苦しそうに顔をゆがめて何かに耐えている様子。何か悪い夢でも見ているのか。

ここは図書館だし、大きな声で起こすわけにもいかないから片手を握ってゆっくりと背中をさすった。

しばらくすると苦しそうな声はなくなって規則正しい寝息が聞こえてきた。

どんな夢を見ていたかは気になるけど怖い思いをもうしなくていいんだと思うと、こんな僕でも役に立ったのかなって、思ったりもする。

寝顔はまだあどけなくて、僕の心も自然と穏やかになる。この守ってあげたいと思う気持ちは何だろう。

感情で言えばきっと恋だ。

でも僕にその資格はない。もっと上を目指さなければ。

このまま見ていたかったけど卒論に必要な本を借りに来ただけだし、そう思って名残惜しいけれど手を放そうとしたら。

「っ……くっ……」

またゆがみだした沙紀ちゃんの顔。苦しそうにうめき声を出して震える手。僕は慌ててもう一度手を握って背中をさすった。

なかなかおさまらなくて申し訳ない気持ちになった。誰か近くにいればいいかなと思ってさすっていた手を止めてスマホを出し、紀野さんか砂川くんに連絡してみた。

「紀野さんは直の先輩だって言ってたし、砂川くんも知ってたな……」

二人に連絡すると二人とも校内にいるみたいですぐに図書館に来てくれることになった。

二人が来たら僕はお役御免だ。

それまでは傍にいよう。

こんな僕でもこの子の安らぎになれるのなら。


十分後、紀野さんの「林さん?」という声で現実に引き戻された。

hys×okmt3→←hys×okmt1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (9 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
23人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みずいろねずみ - はーい!ありがとうございます。ここだけの話、私もお話作ったんですよ。 私の名の略語で検索しないと出て来ませんがね( ^ω^)時間があれば探してみてくださいね。では、みずねずでしたー。 (2020年6月25日 20時) (レス) id: 8793b9ec28 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - みずいろねずみさん、ありがとうございます!お名前変えられたんですね、びっくりしました(汗)リクエスト承りました。ただ亀更新なので完成が遅くなることはご了承ください。また只今一つリクエストを受けたまっていますので、そちらが終わり次第でお願いします。 (2020年6月25日 13時) (レス) id: 55c4a12b32 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろねずみ - あ、前の方でもよんでましたよー! (2020年6月24日 0時) (レス) id: 8793b9ec28 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろねずみ - この前は、私のホムペに、コメントありがとう! リクエストします!GLです。sr×hkrお願い出来ますか? (2020年6月24日 0時) (レス) id: 8793b9ec28 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - 麻さん、リクエストありがとうございます!亀更新になりますが、大目に見てください!!しばらくお待ち願えると嬉しいです。 (2020年5月28日 13時) (レス) id: 55c4a12b32 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユキ | 作成日時:2020年3月18日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。