彼らは恋愛王

hys×hkr2 ページ44

結局止めることはできずに光さんに高そうなコーヒー豆の袋を開けさせてしまった。

「どうぞ！」

香りのいいコーヒー僕が淹れるコーヒーとは色も全然違う。

「い、いただきます……」

一口飲むと、口の中で苦み走ることなく消えていく。なるほど、このチョコケーキと合うね。

光さんがケーキを差し出してくれて、一口食べると少し苦み走った。

あ、このケーキは……

「これ、ザッハトルテ？」

「正解です！練習して作れるようになったんです！お姉ちゃんにも食べてもらって味も大丈夫だと言われて、やっと完成したんです！」

光さんは心の底から良かった、というように大きく深呼吸をした。

僕は、その様子を見て何故か吹き出してしまった。

「あ！今笑いましたね！」

「だって、光さん安心したって顔されたんですから、どんなものだって光さんから頂ければ嬉しいに決まっていますよ！」

「え？」

「ぁ！」

やっちゃった……もうこうなったら腹くくります！

「光さん！」

「は、はい！」

光さんは驚いた様子で僕を見た。僕は深呼吸をして、一気に言う。

「僕、光さんが、候補生として入った時からずっと好きでした！僕と付き合ってください！」

「……」

光さんはいつもクイズで正解した時みたいに瞳孔が開いている。

「僕は、ほ、本気です！」

「……ふふっ」

光さんは目を細めて笑った。

「私、一目ぼれでした」

「え！？」

し、信じられない！

「僕ですよ！だって、水上さんや鶴崎さんがいますよ！あの二人の方が立派ですよ！素晴らしい人ですよ？どうして僕……」

「頑張っていらっしゃって、皆さんが分からない答えに導くじゃないですか？私は林さんのすべてに惹かれたんです」

本当に僕を……

「本当に僕を……」

「はい！」

誕生日に好きな人が彼女になりました。

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