8話 ペンライトの人 ページ9
Aside
初ライブ遅れちゃう！どうして今日に限って仕事がギリギリに終わるんだろう。そんなことを思いながら全力で台場野外音楽堂に走った。
A「ハアッ、ハアッ…着いた…」
こんな汗だくじゃ他のお客さんに迷惑かけちゃうよ…
あれ？
なんだかお客さん少ない？
少ないどころか数人しかいないみたい。
とりあえずチケット買わないと！
「ありがとうございます。今夜は楽しんでくださいね。」
優しそうな、お兄さんからチケットを購入した。当日券なんて初めて買ったかも。
「あ、よかったら“コレ”使います？」
どこから出したのか分からないけど、手にはペンライト。嬉しいかも、まだグッズとか無いみたいだったから。
A「嬉しいです！でも本当にいいんですか？」
「いいんですよ。ウチの事務所で用意したものなんですけど、お客さんの人数的に全員に配れそうです！」
やっぱり少ないんだ…でも、考えてみればそうかもしれない。街でフライヤーを配ったり公式サイトだけじゃ、完全に興味を持ってくれる人は少ないよね。
「お客さんは少ないけど、あの子達なら楽しませてくれると思いますよ。あの子達が有名になったら、いろんな人に自慢してください！」
面白い人だな。そうだよね、私もファンなんだから全力で盛り上げて全力で楽しまないと！
A「じゃあ、遠慮なく使わせていただきます！」
「何色がいいですか？カラーチェンジできるのもありますけど、推しの子とかいます？」
そう聞かれると少し返答に困る…推し、推しかあ。みんな素敵だと思うけど、やっぱり…
A「む、紫でお願いします。」
めちゃくちゃ恥ずかしい…！何故だか分からないけど、顔に熱が集まる。
「紫ですね！はいどうぞ。壮五くんのこと応援してあげてくださいね！」
A「は、はい！ありがとうございます。」
自分が歌うわけじゃないのに、ドキドキする。ライブ前はいつもそうだけど、今日のドキドキはなんだかいつもと違う感じがする。
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作者名：朱那/akana | 作成日時：2018年5月13日 20時
