ささやかな出会いから。【逢坂壮五】 (ページ2)

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1話 CDショップでページ2

壮五side

店員「いらっしゃいませー」

いつもの練習を終えて、帰り道に少しCDショップに寄ってみた。最近いろいろあって立ち寄る時間も無かったし、今日くらいご褒美に大好きなあの人のCDでも買って行こうかな。

お目当てのCDを探していると、あるコーナーの一角に一人の女性がいた。

高いところにあるCDを取ろうとしてるのかな。
一生懸命背伸びをしてるみたいだけど、あと数センチ手が届いていない。というか、足がプルプルしていまにもバランスを崩してしまいそう。

これはさすがに見てられないね。

…スッ

壮五「どうぞ。」

女性が取りたかったかであろう、CDを代わりに取って渡してあげた。

彼女は驚きながらもCDを受け取ってくれた。

「あ、ありがとうございます。」

お礼を言う彼女は、照れているのか顔が赤くでもとても嬉しそうに笑顔をこぼした。

え、ちょっとまって…

壮五「そのCDひょっとして、“ダグラス”ですか！？」

思わず声をあげてしまった。
女性も驚いたのか肩がビクついていた。

壮五「す、すみません。僕、ダグラスのファンで今日はダグラスのCDを見に来たんです。」

うわあ、つい自分の趣味と用事を言ってしまった。
絶対どうでもいいよね…他人なんだし。

「い、いえ。ダグラス、私も大好きなんです。」

…へ？

壮五「本当、ですか？」

「はい！ダグラスの曲からいつも勇気をもらってるんです。なんというか、歌声にパワーがあって不思議と元気が湧いてくるんです。」

ダグラスの話題でこんなに語れる日が来るとは思わなかった…！

壮五「わかります！僕も暇さえあれば聞いています。」

「本当に素敵ですよね。あっ！CD取ってくださり、ありがとうございます。このCDずっと欲しかったんです。」

ニコニコしながら再びお礼を言う彼女。
こんなファンがいるなんて、ダグラスは幸せ者だと思う。

壮五「いえ、貴方がケガをしなくてよかったです。」

「えっと、ここのコーナー見ますよね？では、私はこれで失礼します。」

足早に彼女は去っていった。

また、会えたらいいな。