Step 43 ページ45
【sideA】
ガタンゴトンと揺られる。
煉獄先生もずっと黙っているし、なんだかボーッとしてしまう。
少し上を見てなにか考え事をしているみたい。
今日はなんか……色々あった。
炭治郎君がいなくなっちゃったのもそうだけど、私、随分変だったな。
迷子になったのが久しぶりだったからかはわからないけど、あそこまで冷静でいられなかったのも初めてだ。
そして、抱きついてしまうなんて。
ああ、私のバカバカ!
私も恥ずかしいのに、煉獄先生が嫌な思いをしていたらどうするんだ。
煉獄先生は優しいから、嫌だとしてもそれを言わないだろう。
煉獄先生にもきっと想い人がいるはずだ。
そうでなくても、初めて異性としてハグする相手なんて誰でもいい訳が無い。
や、やってしまった。
いくら記憶の中の温もりに似てるからと言って、煉獄先生が覚えているなんて限らない。
これはかなりの大失態ではないか。
こういう時に限って煉獄先生は喋らないし。
もしかして、顔には出さないだけで相当お怒りになってるとか。
信じたくないけど、有り得る。
駅に着いたら、謝らなきゃ。
怖いとか関係なしに、無神経なことをしてしまったんだし。
私はそう決意し、電光掲示板とにらめっこをした。
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作者名:夢世 | 作成日時:2020年11月22日 23時