Step 3 ページ5
【sideA】
『煉獄先生! おはようございます!』
「おはよう! 元気そうでなによりだ!」
元気そうなのはそっちですよ、と心の中で話す。
私が多分、前世で恋心を抱き、今世で強く惹かれている人。
それが煉獄先生だ。
黄色い髪に、くっきりとした目元。
間違いなく、遠い昔の記憶にいる、と言える。
私が昔から知っている安心感の一方で、強く心臓が痛む。
ああ、今日もだ。
無意識に先生の左目とお腹の部分を確認してしまう。
この世界での彼は無事。そんな事、とっくのとうに分かりきっているのに、、
「む! さっきから具合が悪そうだぞ。保健室に連れてくか?」
『大丈夫、です。ありがとう、ございます』
「……あまり、大丈夫そうではないな」
私が途切れ途切れに、言葉を発したからか、先生は、顔を覗き込んできた。
『先生、、大丈夫ですって、』
「やはり、心配だ! 保健室に行くといい!」
あぁ、先生の優しさが裏目に出てしまった。
嬉しいのに、素直に喜べない。
さすがに体調悪くは無いし、断らなくちゃ。
なるべく先生の優しさを傷つけないように。
『私は大丈夫です。ほら、。でも、本当に体調が悪くなったら自分から言いますね』
「そうか! 心配しすぎだったかもしれんな!」
先生は、わははっと笑った。
先生を傷つけずにどうにか言えた。
よかった。
そして、教室に向かうために煉獄先生と我妻君に別れを告げて校舎へと向かった。
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作者名:夢世 | 作成日時:2020年11月22日 23時