Step 28 ページ30
【sideA】
雀がチュンチュンと鳴き、朝を告げる。
いつも通りの道をゆっくりと歩く。
さすがに煉獄先生と一緒に電車に乗ったから恐怖症克服!!……って訳でもなく。
やはり電車に抵抗はあるようで、私の生活に特に変わったことはなかった。
歩きのルートをゆくと、たくさんの人がいた。
制服を来て自転車で駆け抜けていく学生。
小さな子供と手を繋いで道路を渡っていく親子。
スーツ姿で走り去るサラリーマン。
今が一番、道が混む時間帯なんだろうな。
「あ、日野浦さん……ですよね? おはようございます!」
振り返ると、煉獄先生に似た学ランの生徒がいた。
?!
すっごい、そっくりだ……。そして、なんで私の名前を知っているのだろう。
「あ、ごめんなさい! 煉獄千寿郎といいます。兄上からお話を聞いて、つい話しかけてしまいました」
『大丈夫だよ。千寿郎君……っていうんだね。あの、もしかして……』
「はい! キメツ学園の先生、煉獄杏寿郎の弟です」
私が聞く前に教えてくれた。
煉獄という苗字。家族を表すような名前。
そして何よりも……似すぎてる顔立ち。
……遺伝子が強すぎる!!!
『あ、煉獄先生からどんな事を聞いたの……?』
「えっと、昨日の夜にお出かけをしたと話してくれました。とても楽しかったみたいで、笑ってましたよ」
『そうなんだ……』
煉獄先生、言っちゃったのかぁ。
なんて思いながら、煉獄先生も楽しかったんだと知れて安心。
「あ、朝なのに立ち話してすみません! また今度お話を聞いてもいいですか……?」
『もちろん!』
私がそう答えると、千寿郎君は笑ってぺこりと頭を下げた。
きっと自分の知らない煉獄先生を知りたいんだろうな、と思いながら。
.
□煉獄千寿郎
前世の記憶があるらしい。
前世の杏寿郎は勿論、Aの前世をも知る数少ないひとり。
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作者名:夢世 | 作成日時:2020年11月22日 23時