Step 14 ページ16
【sideA】
家に帰り、ぼすんっとベッドに飛び込む。
布団がふかふかで気持ちいい。
『――………』
言葉にならず、息となって私の喉から出た。
未だに煉獄先生とした約束が信じられない。
だって、2人きりでないとはいえ、生徒と先生で出かけるんだよ?!
しかも、近場ではなく、遠くへ。
でも、今思えば
『何も言わなければ、先生と2人きりのお出かけだったのかな………』
恐怖症克服、というたてまえを作った、いわゆるデートだ。
……いやいやいや、そもそも今の私は煉獄先生のことを恋愛的な意味で好きって訳じゃないし!
前世で好意を持っていたから、今世でも持っているものかと思ったが、どうやら違うらしい。
『私の前世の記憶も曖昧だしな……』
ぽつんと呟く。
煉獄先生と会うと、左目とお腹を気にしてしまうのは何故だろう。
そもそも、なんで列車を見ると動けなくなるのか。
修羅の生物はなんだった?
少なくともよからぬ事なのはわかるけど、とにかく気になる。
そういや、カナヲに聞かれたな。
前世って信じる?、と。
あの時はあまり深く考えていなかったけど、あの聞き方は、まるで前世があるみたいだった。
――もしかして、カナヲは何かを知っている……?
でも、あの話が冗談だったらどうしよう。
カナヲが冗談を言う意味もよくわからないけど、完全に信じきっていいものなのか。
『さすがに聞くのはやめておくか……』
そうして私の中の完結に繋がった。
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作者名:夢世 | 作成日時:2020年11月22日 23時