Step 13 ページ15
【side炭治郎】
裏口からドアを開け、家の中に入る。
「おかえり、炭治郎」と母さんが優しく迎えてくれた。
『ただいま! 兄ちゃんが帰ってきたぞー!』
1階から、2階に向かって叫ぶとバタバタと音が聞こえてきた。
「おかえり兄ちゃん!」
「おかえり!」
みんな、声を揃えて言ってくれた。
竹雄、花子、茂、六太。
竹雄と花子は小学校に入学したばかりで、茂は幼稚園に通っている。
みんな元気で何よりだ。
そして店と家内を通じるドアが開き、ひょっこりと顔を出す。
「おかえり、お兄ちゃん」
『ただいま。禰豆子』
学校に行く時の朧気な瞳ではなく、太陽を思わせるようなピンク色の瞳だ。
キメツ学園中等部の制服を着て、上からエプロンをつけている。
多分、俺の代わりに店番をしてくれたのだろう。
『ごめんな禰豆子。店番の日じゃないのに』
「いいのいいの! お兄ちゃんにばっかり任せてられないって言ったじゃない」
禰豆子の匂いは優しさに満ちていた。
本当にありがとう、禰豆子。
母さん達と挨拶を終え、父さんがいる部屋に行く。
『父さん。ただいま』
「おかえり、炭治郎」
父さんは体が弱いが、調子がいい時はパンを焼いてくれる。
俺達のパンはまだまだ、父さんには適わない。
『父さんはさ、前世……ってある?』
「前世か。あるのかもしれないね」
『ヒノカミ神楽……とか、聞いたことない?』
俺は、カナヲ先輩から聞いた言葉を思い出した。
カナヲ先輩から聞く話によれば、前世の俺は鬼殺隊という組織に入っていたらしい。そして、水の呼吸とヒノカミ神楽というものを使っていた。
ヒノカミ神楽は父さんが教えてくれた、と前世の俺は、カナヲ先輩に話したらしい。
「ヒノカミ神楽。聞きなれない名前だね」
そう、父さんは言った。
父さんにもわからないことらしい。
前世の解明って思ったより難しいな。
『そっか。でも、ありがとう』
前途多難。
わかっていた。だから、前世を解明してみせる!
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□竈門禰豆子
キメツ学園・中等部。
前世の記憶はありません。
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作者名:夢世 | 作成日時:2020年11月22日 23時