Step 9 ページ11
【sideA】
お弁当を食べ終え、鞄の中にしまう。
カナヲ?
二人で食べている時に、1年生の竈門炭治郎君が来て、慌てて残りのおかずをぱくぱくと食べて、お話に行ってしまった。
炭治郎君は、カナヲの好きな人でもある。
『はぁ〜っ。好きな人と同じくらいの歳っていいなぁ……』
私は手に持っていたこんにゃくゼリーをずぞぞと吸い込む。
カナヲの場合は好きな人が歳下ってことで、少し悩んでるらしいけど、、それ以前に炭治郎君の方が背が高い。
言わなきゃ年の差なんてバレないくらい、美男美女なのだ。
『それを言えば、私と煉獄先生も3歳しか違わないけど……』
なんて言ったって、先生と生徒の関係だもんね。
と、続きを心の中で呟いた。
恋心を抱いていた記憶が前世ならば。
前世は、関係なんて上司と見習いみたいな、あまり気にしなくてもいい関係だったんだと思う。
でも、この世界となれば話は別。
生徒と先生が付き合うなんて有り得ない世界。
先生が一人の生徒に特別扱いなんてしてはいけない、という暗黙のルールが自然と形成されている。
ま、まぁ。まず今の私は、強く惹かれるってだけで好きってところまではいってないもん!!
目が合って微笑んでくれたのはちょっと嬉しかったけど……
あぁ。
煉獄先生が前世のことを覚えててくれたらな。
でも、先生には思い出して欲しくない過去でもある。
自分の記憶に、鬼という言葉が出てくる限り絶対にいい思い出ではない。
そんな気持ちにやつあたるかのように、残りのこんにゃくゼリーを吸い上げた。
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作者名:夢世 | 作成日時:2020年11月22日 23時