【文スト】幸を願い日記を綴る (ページ10)

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「くっ、ふふ…あははっ」女性捜査官は気味の悪い笑みをみせ、“顔の仮面を剥がし、ウィッグを取った。”「やっぱり“ローズ姉さん”は流石だね」
赤茶色の髪を持つ女性だった。瞳は赤黒く、倉庫内にある蛍光灯が反射して、透き通る様に見えた。年はAより少し幼い位だ。
さっき迄の堅苦しい印象とはまるで違う、年相応の笑顔をAに向けていた。
「全て判り易かった」にこにこと笑顔を作る女性からある程度離れ、軽く嘲笑うように云った。「“私が欲しいんでしょう“。嫌な施設だ」
背後から少し遠く、影が揺れた気がした。誰か居るのか、または動物が偶然通りかかったのか。
「ローズ姉さんは如何して居なくなったの？アタシだって哀しいしボスだって哀しんでたよ」
「私は貴女何か知らないしボスにも興味はない。使い捨ての道具にされて終わりだからね」
彼女を知らないと云うのは本当だ。まるで見覚えがない。しかし何らかの運命の様なものを感じられた。それが妙に気持ち悪い。
大体、何故ローズの名を知っているのだろうか。
「あははっ、うんうん、そうだよね。“今の私”をローズ姉さんが知ってるわけないもんね！
......ささ、目を閉じて、ローズ姉さん。深い深い眠りをあげるね。その後沢山お話しましょ」
「何云っ .....、..」
どさ、と地面に物が落ちる鈍い音がやけに耳に残った。...嗚呼、またか。
目を閉じる直前、赤黒い瞳は水に濡れていて、より一層透き通って見えた。

「ごめん ..、なさ ..」

自分の口が動いた気がした。

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