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「なんか聞こえたけど大丈夫ですか」
いつもの僕なら特に話しかけることもなく立ち去るけど、今日は何故か自分から話しかけてしまった
『猫舌なの忘れて飲んじゃって』
「ホット?」
『ホットです!舌、半火傷状態です 笑』
「今日暑いのに」
『え、ホットの方が美味しくないですか?』
「そう、ですか? 笑」
舌を少し出してパタパタ手で仰ぐ姿は、とても年上になんて見えなくて
「これ、飲んでいいっすよ」
『え?』
「冷やさないと」
『ありがとうございます?』
「なんで疑問形 笑」
『ピリピリしません?』
「え?」
『火傷したときって、違うもの食べてもなんかそこだけ変な感じで』
顔を顰めながら、手でなんとかその舌のピリピリを表そうとしているんだろうけど、正直全く伝わらない
『だから、ありがとうございます!』
「え?」
『長谷川さん救世主です!』
「…良かったです 笑」
よく分からないし、会話のテンポも内容も不思議だけど、居心地がいいのは確かで
この時初めて、僕はこの人に惹かれているんだって確信が持てた
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作者名:檸檬 | 作成日時:2022年7月17日 23時