MY PRAYER

１０. ページ12

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「あ、それ…」



メモをしていると話しかけてきたほくちゃんに驚いて、肩が上がる






『え、？』


「それ、」




ほくちゃんが指差す先には私の手

じゃなくて…





『あっ、これは、えっと…』


私の手にあるボールペンだった

しかも、ランペのグッズのボールペン









…最悪。


来てくれなくなるのも嫌だし、ほくちゃんが落ち着く場所を奪ってしまうのも嫌だったから

ファンだってこと隠そうって思っていたのに









恐る恐るほくちゃんの表情を見ると、

私が想像していたのとは真逆で




「もしかして、ファンの方ですか？」って

優しい笑顔で聞いてくれた









『えっと…はい』


「それは嬉しい！ありがとうございます」





普通、嫌じゃない？

行きつけになるかもしれない場所のバイトがファンの子だったら


騒がれるかもしれないし、落ち着かなくなってしまうかもしれないのに





なのに、ほくちゃんはそんな素振り全く見せずに、


「ありがとうございます」ってお礼を言いながら、
手を出してくれた







『えっと…、すみません、ありがとうございます』


ほくちゃんの綺麗だけど男らしい手が、私の手を包み込む




今、私ほくちゃんと握手してる………！！！







ほくちゃんに触れてる…

こんなのデビュー記念のリリースイベント以来だ









他のお客さんもいるはずなのに

今私の耳には何の音も聞こえなくて




目の前にいるほくちゃんに夢中だった









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