両片想い。（２）

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(壱馬side)









昼の休憩







「ちょっといいっすか」



声を掛けるとビクンと跳ね上がる肩









「神山さん」


そう呼ぶと少し不機嫌そうな顔で俺の方を見る

…こんな姿、俺らに見せたことなかったよな









神山さんは、三年前くらいだろうか

俺らの専属メイクさんだった





入ったときから、有名だった

………そりゃあもう、悪い方で。








俺らだけじゃなく、先輩や後輩も含め

皆にベッタリで



最初は避けることも出来ない俺たちは、ご飯に行ったりもしていた



ただ可愛がられたいだけ、チヤホヤされたいだけの人だって思っていたけど

そうじゃなかった









わざと週刊誌に撮られるように仕向けたり、神山さんの行動はどんどんエスカレート


その被害に遭ったのが、慎だった







メンバー皆でご飯に行ったとき、何故かその場に神山さんも居て

酔った慎をタクシーまで送ると言って、外に出た



そこで撮られたのだろう

神山さんと慎が、キスをしている写真




嫌な予感はもちろんしていたけど、皆酔っていたし、防ぎきれなかった









慎は酔っていて覚えてなくて、

でも後日HIROさんからの呼び出しで知ることになる




結局HIROさんや上の人の力で世には出ずに済んだけど
俺はまだ、アイツのこと許してないんだよ






慎はそれから少しの間、女性スタッフと話せなくなったりもした

ちょっとした恐怖症、みたいな感じ









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