両片想い。（２）

６４. ページ20

(慎side)









頑張るしかない



とは言ったものの









北「Aちゃ〜ん、これ食べな？」



北人さんはAさんの横から離れないし

話すどころか隣に行くことすら出来ない俺









慎「入れないな…」



あの二人の間には。









壱「すごいな、あの二人」


慎「ですよね」




なんか絵になってるし、お似合いだ




何も知らない人が見たら、ただラブラブなカップルにしか見えない

…実際もうそうかもしれないけど









グラスに入っていたお酒を一気に飲み干した




壱「おまっ、それ強いやつ…！」









慎「壱馬さぁん、俺どうしたらいいんですかねぇ」


壱「……」


慎「俺は壱馬さんみたいにグイグイいけるタイプじゃないし、北人さんみたいに甘えれるタイプでもないんですよぉ」


壱「ちょっと、酔いすぎやって」


慎「でもさぁ」






「可愛いんですよねぇ」







酔うと、どんどん出てくる本音







可愛いんだ、年上なのに






年上だったら、頭が良くて引っ張ってくれるような人がいい

そう思っていた









タイプとは違う




Aさんはしっかりしてるように見えるけど酔って潰れちゃうし、どこか抜けてるし、

月を見てはしゃいでる姿なんて子供みたいだし

怒られそうだけど…頼りないところもあるし




全然違うのに









慎「好き、なんですよね…」









壱「惚気かい」


慎「ふふっ」




惚気れるくらい、あの人のことはまだ全然知らないけど

それでも、可愛い部分はもう沢山知ってるつもりだ









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