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「え、…Aちゃん?」
振り返るとそこに居たのは、
『あ、』
長谷川慎くん、二大王子と騒がれている壱馬の相方さん?だった
泣いていたことが気付かれないように、慌てて涙を拭う
「どうしたの?」
『いや、何もないよ。検査しに来ただけ』
また、嘘をついた
『長谷川くんは?』
「慎でいいよ。俺は、ばあちゃんのお見舞い」
慎くんは私の隣に腰を下ろして
「なんで泣いてんの」
と言った
『泣いてないよ』
「泣いてるし」
『泣いてない』
「バレバレ」
『………』
「俺には隠さなくていいんじゃん?」
『え?』
「Aちゃんの彼氏と仲良いってだけで、Aちゃんとは今日初めてちゃんと喋ったんだし」
赤の他人だと思って話してみ?
その慎くんの言葉が、私のストッパーを優しく壊した
『…もう、嫌なの』
また、泣いた
涙が止まらない
フワッと香る香水の匂い
温かくてしっかりした腕
「こんなとこ、壱馬に見られたら怒られるな」
そう言って少し笑って、
でも私のことをしっかり抱き締めてくれる
私の涙を、
私の気持ちを受け入れてくれる
傍から見たら完全にカップルだろう
誰も、私が癌だなんて、思わないだろうけどね
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作者名:檸檬 | 作成日時:2020年4月7日 23時