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6限目の授業を終えて、帰り支度をしていると
「Aちゃん、来てるよ」
友達がそう言った
教室の後ろ扉にもたれかかって立っている、あの噂の川村壱馬が居た
「一緒に帰らない?話したいことあるし」
一緒に帰る予定だった友達の顔をチラリと見る
「いいよ、私のことは気にしないで!」
友達に対して申し訳なさを覚えながらも、
『うん、帰ろ』
川村壱馬くんと一緒に帰ることにした
校門を出て、真っ直ぐの道を歩く
また、始まった
何を話したらいいのか分からず緊張するこの時間
と思いきや、その時間は一瞬で終わった
「俺さ、さっき一緒に帰れるってなった時、心の中でガッツポーズしてたんだよね」
…何それ、可愛い
思わず笑みが零れる
「笑った」
『だって面白いもん、ガッツポーズって』
気付けば、タメ口で話せていて、
気付けば、笑ってた
「そういえばさ、自己紹介してないよね」
『あぁ、友達から名前は聞いたよ、川村壱馬くんでしょ』
「あ、まじ?」
『凄い人なんだね』
「凄い人?何が?」
『なんか、二大王子とか何とか』
「え?何それ俺知らないんだけど!!」
『え!なんで?』
「なんでだろ、なんで?!」
訳が分からなくなって、2人同時に吹き出した
『あはは、可笑しい』
人見知りで、初対面の人には、寧ろ初対面の男の人となんて
こんなに話せたことなんて無かった
こんなに心から笑えるようになるのなんて、すごく時間が必要だったのに
川村くんは、
何か不思議な力を持っているみたい
他の人からしたら王子かもしれないけど、
私にとっては、魔法使いだ
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作者名:檸檬 | 作成日時:2020年4月7日 23時