万年金欠マネと飛べない烏/02 ページ10
×××
「なんでいる!?」
「!?」
「えっ」
あれから数分。お手洗いに行っていたあたしには状況把握不可。
だが何やら険悪な雰囲気を醸し出す2人に、とりあえずは慌てて仲裁に入った。
「……え、影山知り合い?」
「…さっき言ったヘタクソ」
「ヘタっ、!?」
「まじすか」
すごい偶然があるもんだなぁ、と1人感心に近いものを覚える。
「…バ、バカにすんなよ……!!確かにあん時はボロ負けしたけど、次は負けない!!
…あ、あと俺は日向翔陽だ!おぼ、覚えとけ!!!」
ぎり、と睨み合う影山と日向。
影山の言い方が悪いのは勿論だが、日向の方とてたった1戦やり合っただけの相手をそこまでライバル視できるものだろうか。
───…いや、その試合が、彼にとって計り知れない重みを持ったものだったのか。
…まあいずれ分かることだろうな。そう思って一旦思考を休止させると、日向が思い出したように口を開く。
「…っていう風に決意して俺は烏野に来たのに、なんでお前がいるんだ!同じチームにいたんじゃ倒せないじゃねーか!!」
……確かに、あたしも疑問に思うところではあった。強豪といえば、県内一の白鳥沢がある。どこまでもストイック、バレー一筋の影山なら、迷わずあそこを狙うだろうに。
「……県内一の強豪校には………、…落ちた」
「…あー、まあ偏差値的にもフツーに高いしね」
え、推薦来なかったんだ。あの人が欲しいと思わないなら、余計に影山のプレー気になんだけど。……でもあたしは、日向の次の言葉で何となく察した。
「……おちた!!?"コート上の王様"なのに!!?」
……………。
スゥ、と冷え込む空気。黒くなる影山の雰囲気。
「………オイ、その呼び方……」
「?」
───ヤメロ。
低く唸るような声が、その呼び名が決して良い思い出ではないことを表していた。
思い出したくない、忌々しい。それには触れるな。そんな風に響いた。
いよいよ重ったるくなった空気に、頼む先輩早く来て、と思わず願ったとき。
「いや〜〜〜!!まさか北川第一のセッターがウチにねえ〜〜!!」
シューズの擦れる音、ガタイの良い黒ジャージ。
「おー、A。毎度毎度悪いな」
「いえ」
烏野排球部先輩方の、ご登場である。
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シロ(犬) - とっても面白いです。体調に気を付けて更新頑張ってください! (2019年7月12日 18時) (レス) id: fa5f2782df (このIDを非表示/違反報告)
ニンピニン(プロフ) - 依月さん» ほんとですか。しますか、名作の予感()一応テスト近いんで更新スピードはおっそいですが、よろしくお願いします! (2018年9月5日 10時) (レス) id: 7f4bbc6d57 (このIDを非表示/違反報告)
依月 - 名作の予感...笑((o(。>ω<。)o)) 更新無理せず頑張ってください! (2018年9月4日 20時) (レス) id: 516cd1f0d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニンピニン | 作成日時:2018年8月8日 20時