異世界に夢野先生がいらっしゃった件について。

コミュ障とユメノ先生 ページ10

  



数ヶ月前、陰キャの巣窟・イグニハイド寮に、オクタヴィネルの陽キャが転寮してきた。

誰がどう見ても美男と言えるその男は、僕のようなキモヲタには微塵も興味が無い(つまり転寮してから今まで一度も会話したことがない)。
まぁ当然だし、話しかけられても何を話せばいいのか分からないのでその点に関しては有難いのだが。

しかし、寮長としては彼も大事な寮生。この寮では明らかに浮いている彼のことを気にかけているのも事実である。
なので本日拙者、なけなしの勇気を胸に、ユメノ氏に話しかけるでござる！！！！ 絶対に！！！！(本当はオルトにちょっとは話してって言われたからだけど)

……とはいえ、高嶺の花である彼に話しかけるなんて、拙者には到底出来そうにない。あぁ、もしユメノ氏が話し掛けてくれたりすれば____

「おやおや、そこにいらっしゃるのは我らが寮長 イデアではありませんか」

「ﾋｪｯｯｯ」

もだもだしていたら話しかけられてしまった。
思わず変な声を出してしまったが、引かれてないだろうか。いや絶対に引かれた！！

てかユメノ氏、拙者のこと『イデア』って呼んでたの???? 『シュラウドさん』とか『寮長』とかではなく???? はわわわユメノ氏の好感度爆上がり…しゅき……。

「あっえっ、えっと、こ、こんにちは……」

「ええ、こんにちは」

……

エッどうしよう会話が続かない。
てっきりユメノ氏が会話を広げてくれるものだとばかり思っていた。
でも名前で呼んでくれてるってことは結構好かれてるんだよね？え、そうだよね？もし勘違いだったら拙者何も信じられない……。

「ア、あの！！！」

「？……はい、どうしました？」

「え、あ……
ほ、本はお好きデスカ…………？」



❋



「で、ここでカノンたんが抱きついてくるんでござるよ〜！！ここのイラストもホント〜に神絵で！！もう拙者、初見時には死ぬかと思ったでごさる〜」

「ほう…。しかしまぁ、このカノンさんとやら。中々に可愛らしい顔立ちをしていますね」

「さっすがユメノ氏！分かってるわ〜」

説明しよう、ユメノ氏は陰キャに理解のある陽キャ(？)だった。

毎日さり気なくユメノ氏をチラ見していた拙者は、ユメノ氏についての事前知識が割とあった。彼の手にはいつもなにかしらの本が握られていることを知っていた。

安直ではあるが、結果的には本についての話題で距離を縮めることに成功！拙者マジ神プレイ！乙！！

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