異世界に夢野先生がいらっしゃった件について。

プロローグ ページ3

   



ジャミル先輩のオバブロ事件から約1ヶ月。
僕こと監督生は平穏な日々を過ごしていた。
(まぁここでの平穏の定義はオバブロの有無なので、常識的に考えたら全然平穏では無いかもしれないけれど)

ようやく一日の授業が終わり、相も変わらずエーデュース、グリムと他愛もない話をしながら、メインストリートを歩いていた。

「でさ、そんとき寮長が床に落ちてた紙に足を滑らせて転けたんだよ！傑作だったなぁ！」

「へぇ。リドル先輩にもそんな一面が……」

「寮長がそんなドジをするのは珍しいな」

「お前らにも見せてやりたいくらいだったわ！いやぁ、アレは見ないと人生の８割損する！」

「オマエの人生、ほとんどリドルになってるんだゾ……」

それは勘弁！！とあまりにエースが嫌そうな顔をするものだから、思わず目を細めて笑ってしまう。
が、それがいけなかった。

「おわっ！？」 「おっと……」

前をよく見ていなかったものなので、人とぶつかってしまった。慌ててその人をよく見ると、茶髪のふわっとしたくせっ毛に、翡翠のような双眼、中性的で端正な顔立ちをしていて、制服は着ているものの、どこか和風チックで____

「すみません、余所見をしていたもので。お怪我はありませんか？」

そう言って手を差し伸べてきた彼は、






紛れもない、夢野幻太郎だった。




  

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