エピソード26. ページ49
「俺が来るまで､よく堪えた｡後は任せておけ」
呼吸の多用によって､僅かに這いずることしか出来ない炭治郎｡
子供の鬼─累の血鬼術によって命の灯火を潰えかけた……その時｡
炭治郎の周りに､籠のように覆い被さる糸を容易く切った半々羽織……もとい､
冨岡義勇の登場により､炭治郎の危うい状況が一変した｡
累(次から次に…！
僕の邪魔ばかりする屑共め)
再び累は糸を紡ぎ､血鬼術を繰り出す！しかし──
冨岡オリジナルの拾壱めの型─凪により､
届く前に はらはら と落ちてゆく｡
焦る累｡
もう一度血鬼術を…と思ったその時｡
キリク『もし､そこの若いサムライさん｡
いけませんねぇ､殺しなど｡それは愛がない行いです｡』
冨岡「……？誰だお前は……
(一体どこから？気配は一切感じなかった…)」
キリク『
剣を使う貴方とは違い､騎士とは名ばかりのしがない弓使いですので､ええ｡』
冨岡の肩に手を置いて､にこりと微笑むキリク｡
どことなく胡散臭い笑みであると思いながら､警戒心を顕に怪訝な表情の冨岡に対し｡
現れた男は一つ提案をする｡
キリク『よろしければ､あとは
冨岡「どこの誰とも知らぬ奴に､鬼を相手取らせるとでも？」
キリク『ええ､ええ！そうでしょうとも！貴方の言い分は至極真っ当なこと｡ですが──
─
ニコニコと､怪しいながらも微笑みを絶やさない男の｡
一つトーンを下げた真剣な声で｡糸目をすぅ…と見開いたキリク｡
不気味なほどに整った顔立ちをした美しい相手の､
一切の感情も映さない真顔ほど､恐ろしいものはない｡
冨岡は思わず言葉を詰まらせた｡
キリク『──
敵であれ､もちろん味方でも｡
"決して誰も死なせない"という理想を体現せんと奮闘する健気で愛らしい方でしてね｡
──しかし何故でしょう｡
……ふふっ､やはり今を生きる者の強き生命力になど｡死んだ者が敵うはずありませんねぇ…』
冨岡「…おかしなことを言うな｡
目の前にいる貴様が､死人だと？」
キリク『もちろん｡なんたって三千年も前の亡霊ですから』
再び､にこり と笑みを浮かべるキリク｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：前世あたりが多分､猫だった｡(仮) | 作成日時：2022年3月21日 9時
