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右側の両腕の手首に､金の輪が3つ連なった腕輪｡
左側の両腕の手首には､美しく繊細な装飾のある黄金の腕輪｡
その左右の両腕に被さるように､真っ白い腕が2本｡
開いた扉を押さえるようにして左右の両腕4本で掴むと､手首に腕輪のない両腕がスルスルとゆっくり時間をかけて伸びてゆく様はさながら､盗賊の言うようにホラーである｡
魔導師『─チッ､お早いことだ｡
捕まれば面倒な説教が待っているぞ』
勇者『いや､さすがに2回目は説教だけじゃ済まさないって言ってたよね…？
(確か､挾間を永遠にさ迷わせるとかおっかないことだったような…！)』
「ちょっ､えっ､なんですかあれ！！？」
魔導師『時空間を司りし管理者だ』
勇者『まあ､神様…』
「えぇっ､神様…？！」
盗賊『はぇ〜…わしゃあ神様なんぞ初めて見たのぉ…』
魔導師『まあ､顔を出すまでは時間がかかるからな｡
─だから､今の内にとっとずらかるぞ！私は面倒事と2度手間は大ｯ嫌いなんだ！』
勇者『確かにそれには賛成！僕まだ死にたくない！！』
詠唱は既にほとんど済ませておいているので､あとは一言こう述べるだけ｡
魔導師『──追詠唱・【時間遡行】｡』
光り輝く魔法陣が展開され､足元の光がさらに増し｡全身を包むほどの光が､勇者パーティを覆う｡
勇者『あっそうだ｡シノ､おいで｡』
格闘家『ん』
盗賊『抱き上げるとか､ほんに親子のようじゃの』
魔導師『この中であまりに背が低いと､稀に座標がズレて別の場所に飛ぶからな』
盗賊『まさかのちゃんとした理由があるんかい…？！』
高身長組の下半身が全て光に包まれ､背丈の低い勇者の短い黒髪のてっぺんほどしか見えなくなった状況でも｡
いつもの和気あいあいとした調子のパーティメンバー｡
「皆さん！また…会えますか……？」
魔導師『なに､会えぬのは少しの間だけだ｡』
勇者『マーリンがそう言っているし大丈夫！
──また､会えるよ！』
勇者の､眩しいくらいに満面の笑顔に｡
先程まで寂し気に少しだけ俯きがちだった炭治郎の表情が､驚きに変わった｡
「……！っはい！
俺は絶対､この最終選別で生き残りますから！」
勇者『炭治郎くん､それってフｱｸﾞｯ！((背後にいた魔導師が気を利かせて口を塞ぐ』
魔導師『…ではな､竈門少年』
光に包まれた勇者パーティ全員の姿が､朝日の中に溶けるようにして消えた｡
不思議な人達だったなぁと思いながら､炭治郎は朝日に向かって走り出すのだった｡
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作者名：前世あたりが多分､猫だった｡(仮) | 作成日時：2022年3月21日 9時
