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そうなんですか……と気の抜けた返事をする炭治郎。
なんだか、夢でも見ているかのような顔である。
魔導師『─ま、こんなものか。魔力を有する者でも、見えるのは限られているからな。
お前でも見えるように、一時的に魔法で見せてやった。』
体よりも大きいカサの重さによって左右にフラフラと揺れながら、ワラワラと炭治郎の足元に集まるのはカラフルなキノコの精霊。
肩や頭には色とりどりの花の帽子を被った親指サイズの小さな花の精霊。
そんな炭治郎を見ながら言う魔導師の言葉に、炭治郎は精霊に埋もれつつも「精霊って、特別な存在なんですね」と返す。
魔導師『……暫くはこのままで良いか?』
勇者『……マーリン?ダメだよ?』
……わかっている、と答えて。
魔導師は再び呪文のようなものを口中で呟く。
先程まで見えていた小さなもの達は、見る影もなく消えていた。
「はあ…なんだか凄い体験をしたなあ……」
勇者『まあ、見えることが少ないからね。
……ところで、あんなに精霊に好かれるなんて…きっと、炭治郎さんはとても良い人なんですね!』
両手を合わせてにこやかに笑う勇者に、「そうかな…」と少し照れる炭治郎。
しかし、勇者は心の中で(あまり気に入られ過ぎても大変なんだよね…)と複雑な気持ちでいたのだが。
炭治郎はそれを察し疑問に思いつつも、しかし何も言わなかった。
盗賊『……ちゅうか、此処が大陸とちゃうんなら何処なんじゃ?』
「今は大正時代で…」
勇者『大正…!?(平成から異世界に来て、今度はタイムリープ……?!)』
魔導師『まず、世界線が違うだろ』
勇者『…………そうなの?』
困惑する勇者を差し置いて、魔導師が炭治郎に続きを催促する。
炭治郎曰く、ここは大正時代。
"鬼"と呼ばれる、人を喰らう者達が蔓延っており、その"鬼"となってしまった妹を人間に戻す為。
炭治郎は"鬼殺隊"という組織に入る為の試験をしている最中……らしい。
盗賊『ほにほに…。なんじゃ難儀よのぉ……まだ小さいとに、妹の為に…。
─…ッ!……偉いのぉおまん!!』
目に涙を浮かべながらがっしりと両肩を掴まれて、少し引き気味の炭治郎。
助けて欲しいとばかりにチラリと魔導師の方を見るも、グッと親指を天へと伸ばしサムズアップ。
魔導師『面白いからもっとやれ』
勇者『あのねぇ…(呆れ)』
格闘家『……どうすれば、かえれるの?』
格闘家・シノのこの言葉に、ハッとした勇者が魔導師の方を勢い良く向く。
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作者名:前世あたりが多分、猫だった。(仮) | 作成日時:2022年3月21日 9時