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善逸(やっぱり、敵わないなぁ……)

湊の姿は、善逸が描いていた夢そのもので。
善逸のなりたい姿が今、彼の目の前に広がっていた。



つと、意味深な視線を送っていた魔導師に

善逸「─っ、ははっ。望む所じゃん…?
俺、絶対湊ちゃんのような男になるから」


そう不敵に笑う善逸は、
そういう意味ではなかったのだが、と思うマーリンを置いて。
湊の方を向くと「湊ちゃーーん!」と飛びかかる

揉みくちゃの、おしくらまんじゅう状態でいる湊は戸惑いつつも。はにかみながら照れ笑う



隠A「すげぇなあの子。俺らほとんど仕事ねぇよ」

隠B「菩薩さまみたいな子だなあ……ちょっと拝んどこ」

隠A「あっ、じゃあ俺も」

なんて、隠達にひっそりと拝まれている湊です。





─色々あった夜の山。
日が昇って朝はまたやって来る。



隠A「おい、起きろ。おい、起き……
やい!やいこらテメェいつまで寝てんだとっとと起きろ!柱の前だぞ!!」

はっ、と気が付いた炭治郎が目にしたのは。
ズラリと立ち並ぶ男女の姿。


炭治郎(柱……ってこの人達が……?)



時は、数時間前に遡る……


:
:
治癒魔法によって怪我が治ったものの、しかし蓄積された疲労が体を重怠くする。
それでも累と禰豆子を抱え、必死に夜の山中を走る炭治郎


そんな彼に、追っ手が迫る─




炭治郎「ぐッ?!」

背中を足蹴にされて地に伏す炭治郎。
禰豆子を狙っての攻撃は、間一髪。相手の服を引っ張ることで軌道を逸らせた


炭治郎「禰豆子逃げろ!君、妹を頼……っ!」


累にそう告げた時、顎を砕かれる。
累は、助けるべきなのかと少し迷うも。しかし禰豆子の手を取り走り出す。



累「っ、ごめんなさい……とにかく、今は逃げよう。
あの子のとこなら、きっと助けてくれるはずだから」

禰豆子「むー?(あの子…って湊のこと?)」


蝶の髪飾りを付けた女の子の凶刃が二人…というよりはまず、背丈の高い禰豆子に迫るも
気付いた禰豆子は背丈を縮め、二人して攻撃することなく逃げ続ける。

そのことに違和感を抱きつつも、しかし言われたことをやるだけだと。なおも猛攻を仕掛ける……だが



鎹鴉「伝令!!伝令!!
炭治郎・禰豆子両名ヲ拘束。本部へ連レ帰ルベシ!」


鴉の声が山に響く
蝶の髪飾りを付けた女の子が、「貴女禰豆子?」と顔を合わせて尋ねる。

累は禰豆子にしがみついて警戒心を顕にしていたが、しかしこれ以上の危害は加えられないとわかってか
ひとまずは、大人しくついて行く事にした。

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作者名:前世あたりが多分、猫だった。(仮) | 作成日時:2021年1月23日 16時

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