innocent 2 (ページ36)

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七夕なふたりページ36

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1日遅れてしまいました……が、

題名どおりそんなふたりをお届けします。

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ばーん、と何回も繰り返す音。

打ち上がって咲いた花びらを想像しては、羨ましくて仕方ない。

気にしてもしなくても聞こえてくる夏の音。

いいなぁ、花火大会。

自転車でも行ける距離だし。

無料送迎バスとかもあるだろうし。

でも1人じゃ行く気にならない……

でも見たいし。

行こうかな。まだ間に合うかもしれないし。

ていうか、

行く予定だったんですけど。

愚痴のひとつくらい言わせろ、と冗談半分で

机上のスマホを手に取って電話をかける。

だけど、なかなか繋がらないところで勢いを折られた。

やっぱり忙しかったかな、と切ろうとする。

けど、あいつの方が一足早かった。

「もしもし、薮？」

「なにー？」

「……遅いんですけど」

「ごめんって」

「薮！いつ終わんの！……仕事！」

「あー、花火大会か」

あーもう、

勢いに任せたら言いたくないことまで言いそうで危ない。

ただでさえ、まあまあなこと言ってるけど。

「いやぁー、ほんとごめん」

「……そんなに謝んなくても」

「七夕っていい日なのにねー」

そんなにシュン、とした感じで食い下がって来られても。

ガンガン行けないじゃん。

「音だけ聞こえてくるの。花火」

「あー、それはもどかしいね」

「どうしてくれるんですかー」

「どうしてあげましょうね、」

どうせ今も仕事の人に待たれてるんだろうな、

と思いながら切れない。

でも大丈夫。

切るタイミングは逃してるけど、

それも待っててくれる『彦星さま』だもんね。