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話は5年前くらいに戻る。
ある冬の日、伊野ちゃんが消えたのだ。
俺はその日3食とか食べないで必死に探していたと思う。
でも外はたちまち吹雪いてきて、
もう白過ぎて何も見えないくらいだった。
しかも、伊野ちゃんは市街地で見つからなかったから、
それは街を離れた場所で起きた。
「伊野ちゃん、どこ行ったの……?」
力なく声を出しても誰に届くはずもない。
見渡せば上方を白く塗られたような大きな木と、
永遠に降ってきそうな雪。
その場に倒れるように座り込めば、
雪が意外と暖かいことを知ったけど、
もう再び立ち上がることは出来なかった。
暗闇に引きずり込まれるように意識を手放したら
自然と身体は安心する気がして目を閉じた。
でも、伊野ちゃんは俺を助けに来たのだ。
それはすごくあっさりとした展開だった。
有り得るようで有り得なくて、でもそれは紛れもない現実だった。
「大ちゃん。手、掴んで!」
安心した。もう泣きそうだった。
泣きそうなのは、目の前の彼も同じだったけれど。
座り込んだまま必死に頭を振って彼を探すと、
景色には似合わない細い腕が見えて、
俺はそれに手を伸ばした。
繋いだ手から手には確かに暖かい体温を感じて嬉しかった。
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まだ回想続きます!
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こころ(プロフ) - *Asuka*さん» もちろん頑張る!!ありがとう! (2018年9月15日 19時) (レス) id: f9fb4ac7d9 (このIDを非表示/違反報告)
*Asuka*(プロフ) - 移行おめでと!これからもお互い頑張ろーね! (2018年9月15日 16時) (レス) id: 34b785c964 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁 | 作成日時:2018年9月15日 8時