僕の専属トレーナー

最後は ページ22

〜壱馬side〜









Aちゃんに、キスをして、もっかい好きってちゃんと伝えた。





後悔なんてないはずなのに、それなのに、









壱馬「......Aちゃん。」









Aちゃんがいなくなった部屋はホンマに空っぽで、まるで自分の心映してるみたいに。









好きな子の背中最後に押してやるのが、俺みたいな立場のやつの役目。





そんなん、分かってるよ。
俺は映画の主人公にはなれない。最初からシナリオなんかとっくに決まってて、









壱馬「......好き...だったな。」









嘘ついて、からかっただけとか言うたけど、からかってるわけないやん。
俺はホンマに君が好きで、久しぶりにおもいっきり恋して、笑って、傷ついた。







壱馬「......おわったぁ。」









俺の最後の仕事。もう、終わった...でええんよな。
携帯ひらいて、時間確認する。
待ち受けの中で笑う俺とAちゃん。









壱馬「...写真消さな。」









頭ではそう考えてるのに、指が動かない。
とめどなく溢れる涙は教えてくれる。まだ諦めきれてないこのきもちのこと。









フォルダ開いたらAちゃんとの写真いっぱい出てきた。
無理やり撮ったツーショットの写真。こっそり隠し撮りした横顔。気持ちよさそうな寝顔。









壱馬「...写真、よく見えへんわ...笑」









涙でぼやけた視界の向こうで笑ってるAちゃん。どんなに思っても時間は戻らなくて、でも、あの子のきもちも大事で。









だから、最後は綺麗なまま終わるんや。









壱馬「......じゃあな。」









無理やり笑って、写真1枚ずつ消してく。
大丈夫。きっと、この思いもやがて消えるから

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