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沙耶香「え！？付き合えたの！？」
「ちょっと、声でかい…」
相変わらず 声の大きい沙耶香ちゃんは興奮気味
なぜかって、昨日あったことを一通り話したからだ。
沙耶香「まぁー、普通じゃない？」
「え、だって、今までずっと敬語で先輩呼びしてたんだよ！？
それが急にタメ口で呼び捨てだなんて…」
風磨「Aー」
「へ！？」
沙耶香「お、噂をすれば」
なんでなんでなんでなんでなんで
なんで私の教室の前に風磨先輩がいるの！！
他の子もめちゃくちゃ見てるよ…
恥ずかしい……
「な、なんでしょうか……」
風磨「弁当。一緒に食おう」
「え……」
沙耶香「行ってきなよ」
そのまま 腕を引かれ、連れて行かれる私
訳もわからず廊下をただ歩く。
目の前には 風磨先輩の背中
なんで…
違う…
何かが違う気がする……
.
風磨「あぁー屋上ってやっぱりいいよな、人いねぇし。」
「……バレたら怒られちゃいます…」
風磨「大丈夫だよ、部活って言えばだいたいは許してくれるし」
写真部で屋上を使うことがあるらしい。
だから、屋上の扉の鍵を風磨先輩が持っているのも 先生は許してるみたい。
いやいや、許しちゃダメでしょ…
特に風磨先輩になんか持たせちゃ 何をしでかすか分からないのに…
風磨「あ、美味そう、」
「風磨先輩 食べます？」
風磨「……いらねぇ。」
体の向きを向こう側へと変えてしまった風磨先輩
黙ってお弁当をただ食べるだけの時間
風磨「あ、てか敬語禁止な。」
無理だよ……
そんなの、すぐに 出来るはずがない…
風磨「あと、先輩呼びも禁止。
昨日話しただろ」
なんで…
付き合ったら 敬語使っちゃいけないの？
付き合ったら 呼び捨てしなきゃいけないの？
付き合ったら お弁当も一緒に食べるの？
そもそも 付き合うってなに…？
涙が溢れた。
ぽたっ、とお弁当の中に落ちる自分の涙
考えれば考えるほど 分からなくなって 涙が止まらない。
風磨「A……？」
風磨「え、泣いてる……？
どした？なんかあったか？」
「……な、……い、」
風磨「え……？」
「……わから、ない……、
もっと、普通が…いい……
普通で、いたい……」
.
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作者名：ゆう | 作成日時：2020年11月25日 23時
