清く散り永遠に輝け【3】 ページ7
「そういえば、あの教会、土砂崩れか何か起きたの」
数々の思い出話や、新しい生活についてひとしきり話した頃、私はふと思い立って母に聞いた。
「つい最近よ。残念ねぇ。よく遊んでたのに」
「すげぇ音がしたな」
大きな声を出す父は、まるで目の前でそれをみたかのように話した。さらに突然声を荒げた。
「そういやあれも壊すんだ、教会がねぇなら意味ねぇって、森の奥の石像」
私は、森の奥の石像という言葉を聞いて、思わず家を飛び出していた。
玄関にあった古いスニーカーをはいて。がむしゃらに走った。昼間に、木の上から見たところへ。
しかし夜の森で迷わないはずがなく、数分後私は真っ暗な森にうずくまっていた。
「神様のうそつき。死なないっていったのに」
支離滅裂だけど、そんな文句を口にした。いますぐ照美に会わなければ寂しさで死んでしまう気がした。
するとうずくまっていた私の肩を、な誰かが叩いた。照美だった。
『おいで』
照美はそれだけ言うと、歩き出した。私も慌ててあとを追う。照美は暗闇のなかでうっすら光っていた。
やがて、“照美”にたどり着いた。島に住んでいたころにも知らなかった照美の像は、照美にそっくりだった。私がそれに触れると、照美は口を開いた。
『隠していて悪かったね。僕は死ぬんだ』
私はもう泣かなかった。
「神様も嘘はつくんだね」
『ずっとついていたさ。僕はカミサマじゃない。ほんとは天使なんだ』
照美は、後ろから私に抱きついた。
『君と初めて会ったとき、君が「この島の神様なの」って聞くからそうさって言ったんだ。神様じゃなかったら遊んでくれないかもと思って』
照美は泣いていた。
私は涙をこらえながら、一度照美の腕をほどいてから、もう一度正面から抱き締めた。私より一回り小さいカミサマ。
『僕はもうひとつ嘘をついた。本当は、僕の体は教会そのものなんだ』
照美は私から離れ、見つめあった。
『あの教会が崩れたときから、僕は死んでいた。本物の幽霊だったんだよ。最期に君に会いたくて、ずっと待ってたのさ』
照美は、最後まで私の手を握っていた。照美の涙が私の頬に落ち、私の涙と一緒になって地面に落ちた。
『大好きだよ＿＿＿＿＿＿A』
照美は私の手を放すと、ふわりと私に近寄り、私の唇に自分の唇を重ねた。
fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» 続き！！パラライズの続き！！予想外のリクエストでちょっと興奮しました(変態)！頑張って書きますね！了解です！ (2018年2月20日 23時) (
レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - リクエストで、パラライズの続きをお願いします (2018年2月20日 12時) (レス) id: 480d98284b (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» 早速更新しました！湾田も浪川も大好きなので書いていて楽しかったです。よかったらまたリクエストしてください。ありがとうございました！ (2018年2月2日 19時) (レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - 涙音さん» おまかせでお願いします (2018年2月2日 6時) (レス) id: 480d98284b (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» リクエストありがとうございます♪閲覧していただけて嬉しいです。浪川と湾田の取り合いの、オチはどうしましょうか？おまかせなら私が好きに書きますが、どちらか希望があればぜひどうぞ！ (2018年2月1日 23時) (レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：涙音 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/enkorimatsue/
作成日時：2015年4月2日 17時
