パラライズ【4】 ページ44
「初めて断られなかった」
嬉しそうな浪川。私は心臓に針で突いたような痛みを覚えた。また湾田に言えないことが増えてしまった。
「別に浪川と帰りたい訳じゃないから」
「じゃあなんでだよ」
「なんでみんなに言いふらしてるの」
私は浪川と距離を取って歩いた。浪川の家なんて知らないけれど、できるだけ私の家から遠いといい。
「俺がしたことを俺が言いふらして悪いかよ」
浪川の悪びれもない様子が腹立たしい。
「私に迷惑だとか思わなかったの？」
「思わないね」
得意気に笑う浪川が何を考えているのかわからなくて、私は逃げ出したくなった。
「そう言うお前こそ、ほんとうは気づいてるんじゃねえの？俺の方が湾田より＿＿」
「………やめて」
私は浪川の口を塞いだ。この人には全部わかっているんだ。私のことを全部わかった上で行動していたんだ！そうわかってしまった今、私にできることはなかった。
「やめて。壊さないで」
浪川のあめ色の瞳が静かに私を見つめている。
「湾田のことは好きだし、初めて私のことを好きになってくれた人だから大事なの。でも浪川はきっと湾田よりも私のことを…………好きでいてくれてる。どっちも大事で、どうしていいかわかんない」
「そうだな」
強い力で浪川は私の手を掴んだ。
「俺だってそうだよ。お前のことは好きだ。でも湾田も友達なんだよ」
浪川はその手を引いて私を引き寄せた。ああ、まただ。浪川の鼓動がわかる。熱くなった息がわかる。私はこの人に愛されている。
「実は俺もどうしていいかわからねえんだ」
浪川は腰に手を回してきて、前とは違って優しく私を抱き締めた。
「好きだ、お前が好きだ」
浪川は額にキスをした。触れる唇の感覚が、この人はきっと私を諦めたりはしないだろうと思わせた。
「だから俺、湾田にお前が好きだって言うよ。それでお前がどっちを選ぶか待つ。このままじゃダメだ」
口ではそう言いながら浪川はさっきより強く抱き締めた。もし私が湾田を選べば浪川は潔く引き下がるだろう。それでも浪川が私を好きではなくなるわけではないのだ。そんな残酷な結末さえも浪川は受け入れるのだろうか。
自然と涙が溢れてきた。でも誰のための涙なのか私にはわからなかった。
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涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» 続き！！パラライズの続き！！予想外のリクエストでちょっと興奮しました(変態)！頑張って書きますね！了解です！ (2018年2月20日 23時) (
レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - リクエストで、パラライズの続きをお願いします (2018年2月20日 12時) (レス) id: 480d98284b (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» 早速更新しました！湾田も浪川も大好きなので書いていて楽しかったです。よかったらまたリクエストしてください。ありがとうございました！ (2018年2月2日 19時) (レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - 涙音さん» おまかせでお願いします (2018年2月2日 6時) (レス) id: 480d98284b (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» リクエストありがとうございます♪閲覧していただけて嬉しいです。浪川と湾田の取り合いの、オチはどうしましょうか？おまかせなら私が好きに書きますが、どちらか希望があればぜひどうぞ！ (2018年2月1日 23時) (レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涙音 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/enkorimatsue/
作成日時：2015年4月2日 17時
