Ninetta【風丸一郎太】 ページ39
「ねえ、私が風丸を殺めたらどう思う？」
突然彼女が洩らした言葉を、俺はなぜ不思議に思わなかったのだろう。
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まだ五時くらいだが、日はもうとっくに落ちて街頭の光が目に眩しく光っていた。
俺はそんないつも通りの通学路を、いつも通りAと並んで歩いていた。Aは最近寝不足だという話をしていた。実際、青白く照らされたAの目元には薄く隈がある。
「大変だな。寝付けないのか？」
俺はAに視線を向けずに、アスファルトを見つめたまま尋ねた。ぺたりぺたりと静かに歩みを進める度に、靴底に冷たさが伝わる。
「ううん。眠れないわけじゃないんだけど、嫌な夢を見るの」
「どんな夢なんだ？」
Aは答えなかった。
しばらくそのまま、静かに黙ったまま歩き続けた。そしてちょうどいつも別れる分かれ道の前で、Aは立ち止まってこう発したのだ。
「ねえ、私が風丸を殺めたらどう思う？」
Aの目の下には隈があるが、目はしっかりと俺を見据えていた。
「そういう夢を見るのか」
「うん。だから、どう思う？」
答えは言われるまでもなく決まっていた。それと共に、俺にはなぜAがそんな夢を見るのかわかってしまった。
「答える前に一つ聞かせてくれ。"俺がお前を"殺めたら、どう思う？」
Aの目は途端に潤み出した。泣きはしなかったが、涙をたっぷり溜めた目でAは答えた。
「嫌だよ。風丸のことは大好きだしずっと一緒に居たいけど、でも、それはやだ」
「........そうか」
涙声のAを前に、俺の胸には失望が広がった。
「別れよう、俺たち」
きっと、もっと早くこうするべきだったんだ。
「えっ！？なんで！？」
俺が黙って歩き去ろうとすると、Aは腕にしがみついてきた。
「俺は」
静かに腕を振りほどくと、Aは数歩後退りした。
「お前になら何をされたって平気だったよ」
俺はそのまま、できるだけ自然に見えるように歩きだした。するとすぐにAは自分の家の方に歩いて行ってしまった。人の気配が消えた途端、両目から熱い涙が溢れた。
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恋と執着は違うと思います。
タイトルはイタリア歌曲「Nina」より。
死んでしまった恋心を彼女にのせて。
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涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» 続き！！パラライズの続き！！予想外のリクエストでちょっと興奮しました(変態)！頑張って書きますね！了解です！ (2018年2月20日 23時) (
レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - リクエストで、パラライズの続きをお願いします (2018年2月20日 12時) (レス) id: 480d98284b (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» 早速更新しました！湾田も浪川も大好きなので書いていて楽しかったです。よかったらまたリクエストしてください。ありがとうございました！ (2018年2月2日 19時) (レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - 涙音さん» おまかせでお願いします (2018年2月2日 6時) (レス) id: 480d98284b (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» リクエストありがとうございます♪閲覧していただけて嬉しいです。浪川と湾田の取り合いの、オチはどうしましょうか？おまかせなら私が好きに書きますが、どちらか希望があればぜひどうぞ！ (2018年2月1日 23時) (レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涙音 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/enkorimatsue/
作成日時：2015年4月2日 17時
