きらきら、きら【2】 ページ22
その日から、奏秋は毎日のようにこんぺいとうをくれた。
帰り際に、どこからか赤いこんぺいとうを取り出しては、私の手にざらざらと乗せていく。
私は奏秋の病室に、あの花瓶を持っていくようになった。
ざらざらと花瓶にこんぺいとうを詰め、大事に抱えてもって帰る日々がしばらく続いた。
思い返せば........なぜ私はあのこんぺいとうの出所を不思議に思わなかったのだろう。奏秋は病室のベッドから動けないのに、こんぺいとうはなくならない。まるで彼の手からざらざらとこんぺいとうが生まれているのではないか........そう想ってしまった。
ある日、またいつも通りに花瓶を抱えて奏秋の病室に行くと、奏秋はぼうっと空を見つめていた。
私に気がつくと、またごそごそと、どこからかこんぺいとうを出し、いつもは帰り際にくれるそれを、私にむけて差し出した。
いつも真っ赤なこんぺいとうは、心なしか白みを帯びていた。
「もらってくれるよね」
私が頷き花瓶を差し出すと、奏秋はまたざらざらとこんぺいとうを注ぐ。
「ほんとうは食べてくれたら一番嬉しいんだけどね」
悲しそうに笑い、奏秋は視線をベッドに落とした。私もその視線を追うと、彼の胴体から伸びる下半身の、一対の足の先にあるはずの膨らみが途中で途絶えていた。
奏秋の両足は、くるぶしより少し上くらいから下がすべてなくなっていた。
「俺が今までAちゃんにあげていたのは、俺の足だったんだよ」
私は持っていた花瓶を落とした。まるで私の心みたいに大きな音をたててわれた。辺りには花瓶の破片と、真っ赤なこんぺいとうが小さな山を作った。
「俺はもう永くない。そのうち手がなくなって、胴がなくなって、首だけになって、死んでいくんだ」
ねえ、Aちゃん
奏秋はいとおしそうに私の名前を呼ぶ
君も、一緒にいかないか？
．
奏秋が死んでから、私は集めたこんぺいとうを全部食べた。奏秋の体がまるごとこんぺいとうになったそれを食べきれるはずがなかったのだが、不思議とどんどん体に入った。
きっと、奏秋が呼んでいるんだ。
私は翌朝には、冷たくなっていた。
#♪#♪#♪#♪#♪#♪#♪#♪#♪#♪#♪
お久しぶりです。
ちょいちょい更新します
陸上をやめた本当の理由【風丸一郎太】→←きらきら、きら【和泉奏秋】
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涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» 続き！！パラライズの続き！！予想外のリクエストでちょっと興奮しました(変態)！頑張って書きますね！了解です！ (2018年2月20日 23時) (
レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - リクエストで、パラライズの続きをお願いします (2018年2月20日 12時) (レス) id: 480d98284b (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» 早速更新しました！湾田も浪川も大好きなので書いていて楽しかったです。よかったらまたリクエストしてください。ありがとうございました！ (2018年2月2日 19時) (レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - 涙音さん» おまかせでお願いします (2018年2月2日 6時) (レス) id: 480d98284b (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» リクエストありがとうございます♪閲覧していただけて嬉しいです。浪川と湾田の取り合いの、オチはどうしましょうか？おまかせなら私が好きに書きますが、どちらか希望があればぜひどうぞ！ (2018年2月1日 23時) (レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涙音 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/enkorimatsue/
作成日時：2015年4月2日 17時
