戻らない振り子【喜多一番】 ページ20
※ホラー、ちょい黒注意
.
「私たちはお互いに素直になるのが下手だったね」
Aは、ガリガリ君をかじりながらなんでもない風に言った。俺は元々照れ屋だし、Aも天の邪鬼なのだ。
それゆれにすれ違ったり、ときには大きく傷ついたりした。でもその積み重ねがあって、俺は今Aの隣にいる。
「そうだな、告白した時はバケツの水をぶっかけられたし」
俺が苦笑するとAはかあっと頬を赤くする。
あの時、照れてしまったAは持っていたバケツの水を頭から俺にかけた。しかも掃除に使った汚いものを、だ。俺はフラれたものだと合点して、帰り道泣いたのは今となっては懐かしい。
「ところで、よくそんな冷たいもの食べられるな」
俺は肉まんをかじりながら言う。コンビニに行きたいと行ったのも、ガリガリ君を買ってと言ったのもAだ。普段は寄り道すらせず、奢ってやると言っても断るAが。
「うーん、なんていうのかなぁ、やっぱりさぁ」
Aはしばらく黙ってアイスをかじった。俺がじっと見ているのをきちんと感じながら。
「最後に好きなもの食べておきたかったからかな」
えっ？
聞き返すより先に、Aはアイスを食べ終えた。最後に少し棒をなめると、その棒を俺に差し出した。
「お守り」
俺は訳がわからずただその棒を受け取り、眺めた。まだ濡れている。
「一番はさあ」
Aはなにもなかったかのように話しだした。まあでも、Aはよくこういったことをする。あまり気にしないことにした。ふざけているだけなのだから。
「私のこと、これからもずっと好き？」
当たり前だろ、考えるよりも先に言葉が出る。
「知ってる」
Aはふふふと笑い、言葉を続ける。
「私は何をしてても、何処にいても、一番のことをすきになっちゃう
私だけ胸が苦しくなるなんて不公平だよね？だから一番の頭のなか、私でいっぱいにして」
Aはキスをした。
「いつまでも私のこと愛してよね」
Aはこの上なく嬉しそうに笑うと、いきなり車道に飛び出した。引き留める間もなく、タイミングを計ったかのように走ってきた車に跳ねられ、空中に投げ出された。
咄嗟に見上げると、ニコニコ笑っている彼女と目があった。
俺も笑い返す。
俺はもうきみでいっぱいさ。
♪＃♪＃♪＃♪＃♪＃♪＃♪＃♪＃♪
久しぶりに更新
きらきら、きら【和泉奏秋】→←Self hate syndrome【半田真一】
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涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» 続き！！パラライズの続き！！予想外のリクエストでちょっと興奮しました(変態)！頑張って書きますね！了解です！ (2018年2月20日 23時) (
レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - リクエストで、パラライズの続きをお願いします (2018年2月20日 12時) (レス) id: 480d98284b (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» 早速更新しました！湾田も浪川も大好きなので書いていて楽しかったです。よかったらまたリクエストしてください。ありがとうございました！ (2018年2月2日 19時) (レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月夜(プロフ) - 涙音さん» おまかせでお願いします (2018年2月2日 6時) (レス) id: 480d98284b (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 十六夜月夜さん» リクエストありがとうございます♪閲覧していただけて嬉しいです。浪川と湾田の取り合いの、オチはどうしましょうか？おまかせなら私が好きに書きますが、どちらか希望があればぜひどうぞ！ (2018年2月1日 23時) (レス) id: 1a4f25a5d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涙音 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/enkorimatsue/
作成日時：2015年4月2日 17時
