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右腕 ページ20

「君は、私が何か恐ろしい怪物を持っていると聞いても怖がらない?」

目を合わせそう問うと、彼は少し驚き、そして静かに頷いた。

彼がどれ程の力を持っているのかは知らない。
呪術師として、どんな凄い術式を持っているのかも知らない。
それでも私は彼に話す事にした。
私の知っている全てを。
彼なら解決してくれると信じて。

本当は今だって怖い。私もこれを知ったのは此処四・五年の話で。
対処法も知らない事を年下の彼に丸投げするのは情けないとも思っている。
それでもこれしか方法がないのだ。

この際、私の日常がそれによって無くなったとしても構わないと私は思った。

彼の前に立ち、来ていた長袖シャツの右の袖を肩の辺から破く。
その下には包帯でぐるぐる巻きにされており、其れを更にゆっくり外していく。

そして、私の右腕が顕になる。
彼は明らかに動揺したように右腕を凝視する。


「多分コレが、君が私に近付かなければならなかった原因」


手首から上腕のギリギリまで赤く腫れ上がった腕。









そして、そこにある沢山の大小様々で色とりどりな「目玉」が、彼を見詰めていた。



「…これは」

「見た通り、目玉」

ゆっくりと深呼吸をした後、腕の目玉同様彼を見詰める。

「コレは私の体に同化している化け物。百々目鬼」

腕を見せつけるようにくるりとその場で回る。彼は口に手を当て、信じられないと言いたいように見ていた。

「何で、特急呪霊がAさんの腕に……百々目鬼は目玉に呪力を込めて、とっくの昔に封印された筈…」

「うん。私もそう思ってた。だから文献を漁った。
昔コレを封印したのは1000年前。
私の先祖、四宮家の4代目当主四宮 陰継(かげつぐ)が封印したって記録されていた。きっとその時に四宮家は呪われたんでしょうね」

改めて自分の腕を見遣る。見れば、見る程おぞましく、気味の悪いものだ。

「百々目鬼は、封印した私達四宮家一族を恨んでいる。何年周期かは分からないけれど、こうなった人間は多分10年と経たずに百々目鬼に体と意識を乗っ取られる」

何となくだけれど勘で大体分かった事を彼に伝える。

私は、本当は誰よりも一般人として生きたかった。四宮家の誰よりも普通に生きたかった。


だが結局、一番血に縛られて、
一番普通の人間から遠いのは自分だったのだ。

信用→←後悔



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 途中で力尽きたらごめん   
作品ジャンル:アニメ
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数学(プロフ) - 麗さん» ご指摘ありがとうございます!!すぐに直させて頂きますm(*_ _)m (2021年3月1日 8時) (レス) id: 854f7b158c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 26ペン 七海健人 ではなく 七海建人 です。 (2021年3月1日 8時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
数学(プロフ) - shinox2さん» 全然大丈夫ですよ〜!!また読めない漢字等ありましたら何時でも質問して下さいね!! (2021年2月28日 16時) (レス) id: 854f7b158c (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - ありがとうございます。ちゃんと妖怪として存在したんですね。てっきりオリジナルかと思ってました。ググればよかったですね(^^; (2021年2月28日 14時) (レス) id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
数学(プロフ) - shinox2さん» わわ!!読んで頂きありがとうございます!!コレは百々目鬼(どどめき)と読みます!!目がめっちゃついてる妖怪ですね!!ちゃんと読み仮名を付けていなくてすみません(汗) (2021年2月24日 22時) (レス) id: 854f7b158c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:数学 | 作成日時:2020年12月26日 22時

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