過去編一時終了 ページ10
「ただし、条件が二つ。
一つは、私はお前に一切の特殊能力を授けない。
その非力な生身そのままで、あらゆる敵と戦って見せろ。
私はお前が言っていたように、それを手助けするただの用心棒となる
。マフィアが相手だろうと何だろうとな。」
「…か、構わない。どうせ最初からそのつもりだったんだ。」
「そして二つ目の条件は、代償だ。
お前は権力が欲しいわけではないと言ったな。
ならば、この契約はお前がこのラプラス市の市長になるまでだ。
その瞬間をもって、契約の満了とする。
その後のお前の、市長としての人生の破滅…それが代償だ。」
「は、破滅…。それは…。」
この代償は想定外だったらしくラッセルは戸惑いを見せる。
「すなわちお前は、破滅するために戦うのだ。お前の言葉が真実なら、それでもいいのだろう？
この条件が飲めるなら…契約成立だ。ククク…どうする？お前は絶対に沈む豪華客船に乗るか？
そんなもののために、命を懸けて戦えるか？」
「…お、俺は…。」
.
.
「…それが、バロウズ市長との出会いですのね。」
今のクソ市長からは考えられないな。
「…そうだ。結局奴は条件を飲んで私と契約を結ぶこととなった。
市長としての破滅に向かって…市長になるための戦いの日々の始まりというわけだ。」
「市長はどうして破滅をかけてまで、市長の座に…？
そんな契約じゃ、たとえ市長になったとしても市長として長く君臨できないはず…。」
「それに代償って発動しないこともあるの？
今の話だととっくのとうにクソ市長は辞任してるはずだよね？」
「焦るな、これは始まりに過ぎん。
そういう契約で、私と奴の契約が始まったというだけだ。」
「ふむ…。しかし相変わらず悪趣味な代償ですわね。
わたくしの時も、これから式典奏者になろうって人間の手足をもぎ取りましたものね？」
まあ、悪魔だし。
そこに関しては何も思わないな。
「…ふん、褒め言葉として受け取っておく。」
･･･だろうね。
「…さぁ、体調も良くなってきた。
いつまでもここにいるわけにもいかん、移動しよう。」
「大丈夫ですの？…というか、今の話の続きは？」
「歩けないほどではない。悪魔は回復が早いのだ。
続きはまたどこかで休憩するときにでも話してやるさ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜桜夢遊 | 作成日時：2020年4月8日 22時
