ジリアンの説得 ページ48
「…な、何を言ってますの、ジリアン…?」
まあ、世間一般からしたら悪だもんね。
いきなりのジリアン登場のショックでまだ困惑しているノエル。
「どうしてあなたが、悪魔と…?どうしてあなたが、バロウズ市長と…?」
「…ごめんね、ノエル。きっと、混乱してるよね。
でもこうでもしないとノエルはきっと、その悪魔と狼と一緒にだんだん遠くへ行ってしまうから…。だから、僕が助けてあげるしかないって病院のベッドの上で思って…こうすることに決めたんだ。」
あの時から…か。いい友達を持ったね。こんなに歪んでなければ、の話だけど。
ノエルを止めるために自ら犯罪に手を染めるその行動力は素直に凄いと思う。
「今回ばかりは、完全な同意の上での契約さ。自分でもびっくりだが、何一つ騙していない。
むしろ、俺がジリアン君に求められて、特別に飛び切りの悪魔の召喚方法を提供したといっていい。」
だろうね。お互いのメリットになる。
どういう契約をしたかは知らないけどジリアンがバロウズ側に着けばノエルの情報をいち早く手に入れることが出来るし、バロウズにとっては抑止力になる。
利害が完全に一致している。
「ジリアン君は、これ以上お前に危険な目に遭ってほしくないそうだ。
やりすぎなほどに心優しい、健気な友人じゃないか。…だから、お前がこれ以上俺に歯向かえないように自らお前と俺の間に、盾として割り込んだって事だな。」
「…そ、そんな…。本当ですの、ジリアン…?
一方的に、こんな…。もっと、他に方法が…。」
「本当なんだ。僕はノエルが諦めるまでノエルの前に立ち塞がり続ける…。
その悪魔からも、狼からも、そしてバロウズ市長からもノエルを遠ざけて、解放してあげる。
それが、僕を爆弾魔の手から救い出してくれた…親友への恩返しだよ。」
わあ、いい笑顔。
でもあいにく、私はノエルが突き放さない限り傍にいるつもりだけどね。
それに、その悪魔に負ける気がしない。
勝てなくてもいい勝負になると思ってるよ。
「…お、恩返し…?」
「…ノエル、ひとまずここは退いてくれるかな？その悪魔召喚の痕跡は、持って帰ってもいいよ。
ただし、帰って、よく考えて。そして出来れば、もうラプラスの闇に関わらないで。」
絶対、証拠を使わないって確信してるな。
使ってしまえば
そこまで考えてるかは知らないけどやり手だな。
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作者名：夜桜夢遊 | 作成日時：2020年4月8日 22時
