市長との対峙 ページ44
まあ、ノエルの復讐だから私は殺らないけど。
「確かにシーザーの維持には、召喚時の魔法陣が必要だ。
今なおこの巨大な魔法陣を片付けることは出来ない。」
あれ、じゃあノエルの書いた魔法陣は放置されてるってこと?
「この魔方陣でシーザーを拘束し、力を制限しなければ契約者への負担が大きすぎるからな。」
…ん?てことは、これも補助式の一種?
それに、やっぱりこいつ自身は契約してないか。知ってたけど。
「…あなた自身が契約したわけではないんですのね。」
「食い逃げするやつが契約するわけないじゃん。
それに、他人の命はどうでもいいみたいだし。」
「…卑劣な…!」
「…ふん。結局、復讐だ何だと言いつつもカロン無しではこのザマさ。
Aも協力する素振りはないし。」
「この復讐はノエルの復讐。
私は手助けはするけど、お前を殺しはしない。」
今ノエルは武器持ってないから復讐できない。
私も銃は隠れ家に置いてきていて、刀しかない。
しかも、ノエルに私の刀貸したところで重くて使えないからね。
「殺してみろよ、俺を。お前を騙した悪い市長はお前の目の前にいるぞ？」
「…。」
どうする?
…ん?上にカロンの気配がする。
幸い、市長はノエルの方に意識が向いてるから気付かれないだろう。
こっちを気にしていないのを確認して上を見ると天窓からカロンがのぞき込んでいるのが見えた。
すぐに市長の方に視線を戻したから気付いたかどうかはわからない。
けど、そばにシーザーはいなかった。決着がついた?
「…バロウズ市長。あなたは…ただの臆病者ですわ。」
「･･･何?」
驚いてる…。まさかこんなこと言われるとは思ってなかったのか。
「…あなたとカロンの過去を知ってから一度、貴方には言っておこうと思ってましたの。
かつては、カロンに随分好き勝手してくれたみたいですけれど…。
結局は、代償が恐ろしいからと全てを裏切って生きてきた…ただの臆病者。」
ノエル…成長したね。面と向かって言えるって凄いよ。
「…カロンから昔話でもされたのか。ふん、人様の詮索とは感心しないな。」
敵を討つためにはまず、その敵を知らないとね。
それに知られて困る過去がある方が悪い。
「これまでは、あなたも悪魔のように傲慢だから全てを支配しようとしているのだと思ってましたわ。でも…違った。恐ろしいから、見下そうとする。
裏切られるのが怖いから、使い捨てようとする。」
「…心外だな、俺の野望はそんな情けないものとは違う。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜桜夢遊 | 作成日時：2020年4月8日 22時
