現実逃避したい ページ41
ブツッ
階段を上り切った瞬間に停電が起きた。
そして、近づいてくる強めの気配。
「えっ!?」
「これは…明かりが消えたのか？」
もう一度言うね、“近づいてくる強めの気配"。
これが何を意味するか…分かりたくないね、うん。
「あ、また点きましたわ。もう、いったい何なんですの!?」
ああ、ノエル…気付いてないって素晴らしいね。
「――!?」
あ、カロンは気付いてるね。
一応嫌々後ろを振り返る。
･･･久し振りだね、大悪魔さん！あ、嫌すぎてテンションがおかしくなってきた…。
で、当の大悪魔は無言。
「出たな…大悪魔シーザー…！」
へー、この悪魔シーザーって名前なんだ。
･･･なんでカロン知ってるの？
てか、無言で近付いてこないで！…あ、でもやっぱり無言でいいや。
「い、いつの間にこんな近くに…！どどどどうしますの!?」
「取り敢えず落ち着いてノエル。隠れ家で言ったでしょ?“見つかっても逃げ切れればいい”って。」
「ああ、行くぞ。来た道は塞がれているが…建物の右側も、左側と同じ構造になっている！
二階をぐるりと回って階段を下りて、廊下を駆け抜ければ正面玄関まで戻れるはずだ…!」
「了解!」
「でもこの距離だと、わたくしの歩くスピードじゃ…!?」
「私が乗せてく。カロンは…いけるよね?」
「ああ、任せろ。ところで…少しは喋ったらどうだ、悪魔。
それともその拘束状態では口もきけないのか？」
知らない。私は何も知らない。カロンが大悪魔を挑発してるなんて知らないぞ。
狼に戻りノエルを乗せる。道が細いのでカロンは後方支援に回ってもらう。
「…チッ、つまらん奴め…!」
取り敢えずあまりノエルに負荷をかけないように注意しながら、出来るだけ早く進む。
多分、一般人が走るくらいの速さなはず!
カロンが障害物を置いたりして妨害しているおかげで、距離もそこまで詰まってない。
でもさ、思ったんだよ。
「…ねぇ、その悪魔おちょくってんの?」
さっきから何なの!?
絶対もっとスピード出せると思うし、何もわざわざカロンの妨害真に受けなくてもよくない!?
いや、良いんだよ。このままいったら逃げ切れるし。だけどさ、何がしたいの!?
「落ち着けA。たしかに何を考えているのかはわからんが、こっちにとっては好都合だ。」
「いや、そうなんだけどね…。」
なんかもう、考えるのやめようかな…。大体、悪魔の事なんか理解できるはずないもんね。
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作者名：夜桜夢遊 | 作成日時：2020年4月8日 22時
