さらば、隠れ家 ページ35
「よーし、それでいきましょう！逃げるだけならどうにかなりそうですわ!」
市長が出入り自由…まさかいたりしないよね？
まぁ、いてもどうにかすればいっか。
「…お前ももう少し考えろ。他人事じゃないんだぞ。」
「貴方達がそう考えたなら、それでいいですわ。」
「私も!?」
「カロンはここ数年、バロウズ市長の行動を見てきた上での結論。
Aはわたくしよりも冷静ですし、頭がいいこともわかってますわ。
ですから、元々わたくしは貴方達の判断を疑っては…。」
ピーン
電子音…?
「…おい、今のは何の音だ?」
「分かんない。…待って、ノエル!!後ろのそれって…。」
ピーン
「センサー…ですの?」
「いや、多分ただのセンサーじゃない。」
「ええ、これは…センサー爆弾ですわ…!」
「ノエル!!」
急いでノエルを突き飛ばし、センサーから離れさせる。
流石、隙が無いね。
ドガーン
あまりの大きい音に思わず耳を塞ぐ。
爆音が隠れ家に響き、火の手が上がる。
黒煙がもうもうと上がり、何かが燃える臭いもする。
「出入り口に仕掛けられていたのか…間一髪だったな。ラッセルめ…。」
カロンが憎々しげに言う。
「た、助かりましたわ…。」
「隠れ家、無くなっちゃうね。」
燃える様子をぼんやりと眺めながら言う。
燃えているのを見ると自分の無力さを思い出す。
「…いや、これでいい。もはや私には必要のない場所だ。」
強いなぁ。過去から一歩も進めずにいるのは私だけ、か。
「…行こうじゃないか、旧市議会議事堂へ。今度こそ、奴の悪事の片鱗を…持ち帰ってやろう。
契約に従い、奴を…破滅させてやろう。これはその、新たな第一歩だ…!」
「そうだね！」
今は後悔してる場合じゃない。楽しもう、この復讐を!!
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作者名：夜桜夢遊 | 作成日時：2020年4月8日 22時
