隠れ家 ページ3
逃走してから二時間。
テリトリーから外れたため海の上を凍らせながらカロンの指示通りに走ると階段があって登れるようになっている崖についた。
「また、ここに…来ることになろうとはな…。」
カロンとノエルが私の背中から降りる。
カロンの座っていた場所の毛は白から紅く染まっている。
崖際の洞穴に入るとカロンは座り込んだ。
「治療するから傷口出して。」
「必要ない。悪魔だからすぐ治る。」
「私の服(人に戻ったので毛皮が服になった)血で汚したくせによく言うよ。」
「うぐっ…。」
傷が痛んだのか、はたまた図星だったからか。
カロンはうめくと大人しく私に傷を見せた。
自分から採った献ポポをカロンの傷に当てる。傷が大きいからだいぶ必要になるだろう。
「カ、カロン…ここは…?
アクエリアスの屋上から海に飛び込んで…だいぶ移動して来たみたいですけれど…。」
「…市街地の裏手の･･･岩場だ。人は…こない…。
…ノエル、テレビをつけろ…。電気は通ってる…。」
「…テ、テレビ?それより、体は大丈夫なんですの…!?」
「大丈夫だよ。傷は大方塞いだから。それに現状は知っておいた方がいいからね。」
「…わ、分かりましたわ…。」
バチッ、ザザッ
テレビつくときの音ってこんな音なの…?
まあ、劣化してるだろうししょうがないか。
「某日深夜、海運会社アクエリアスの本社ビルが強襲される事件が発生しました。
社内を警備していたドローンや警備システムが多数破壊され、現場付近ではヘリコプター１機が墜落、炎上。
現場の監視カメラの映像には、はっきりと襲撃者の姿が映っていたものの…。」
あ、監視カメラ壊して来ればよかった。
堂々と町うろつけないじゃん。
「その正体は、ラプラス市民に大きな衝撃を与えるものでした。
容疑者の氏名は、ノエル・チェルクェッティ。
行方不明になっていた僅か15歳の少女は、悪魔と白髪の少女と行動を共にし、目的不明の破壊行為に及んだとされます。
しかし、警官隊によって完全に包囲された現場で容疑者が発見されることはありませんでした。
生死及び逃走経路は不明。現在指名手配中です。」
そう言って画面に表示されたのは“被虐の魔女 ノエル・チェルクェッティ”、“不殺のルナ”と書かれたノエルの顔写真と私の手配書。…うんいつのだよ。てか、不殺って人殺せないじゃん。
憎い人なら殺すぞ私。
殺す時どう言い訳すればいいんだよ！
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作者名：夜桜夢遊 | 作成日時：2020年4月8日 22時
