白髪少女のトリップ記 (ページ46)

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魔人名ページ46

「…いいえ。わたくしは…ただの魔女、ですわ。」

「話は終わった？」

「ええ。」

「ノエル。」

「何ですの。」

「バロウズを倒すためとはいえ、さらに悪魔の契約を重ねその右目を代償に左腕を取り戻したお前は…もはや立派な魔人だよ。」

「…だから、そういう意味で魔女と名乗ったんですのよ。」

「だろうな。…ボマーの言葉を覚えているか？
魔人は魔人としての名を持つものだと。」

「…ええ、覚えていますわ。」

「だから考えてみた。お前の名を。」

「…様式美、ですわね。」

「そういう性格なものでな。」

真面目か。

「自らの死すら覚悟して死地に赴く捨て身な生き様…被虐のノエル、というのはどうだ。」

「…“被虐”…。…好きにして。でも…少し、気に入りましたわ。」

「良かったね。」

「ふん。」

「そろそろ帰ろ。どうやら気付いたみたいだし。」

足音が聞こえてくる。今のところは警戒しているだけで警報は鳴らされてない。警報なんて鳴らされたら大問題だけどね。ただ、ここジリアンの病室は角を曲がってすぐなので大分まずい。

「ノエル、カロン。手をつないで。」

二人が私と手をつないだのを確認すると、シャンブルズで隠れ家に戻ってきた。

「最初からそれでいけばよかったのではありませんの？」

行きにカロンが一本釣りをしたことにまだ恨みを持っているらしいノエルが言う。

「できたらそうしたいんだけど体力が無駄に削れるから無理なんだよね。だから非常時用。」

「そ、そうだったんですの。」

「普通はこの程度じゃぶっ倒れないけどね。」

念には念をでしょ、というと納得してくれた。

「じゃ。眠いから寝るわ～。」

おやすみ～と言うと返事も待たずソファに横になった。